FC2ブログ

ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

最初のクリスマス・イブ(美星学園分校物語一幕)

書いたよ!
クリスマスイブの夜。
戦後最初の冬です。
帰還したアルトと、静養中のシェリルのつつましいクリスマスです。

この辺の設定に関しては、続けて読んでいただけてる方にはお分かりいただけるかな?
語り手は、レイチェル・マロンさん。
ゼントラーディの第4世代。 巨人になんてなったことない戦闘民族のお嬢さん。
SMSとは違う民間警備保障会社にお勤めです。

まあ、よろしければ短めですのでぜひ〜。
クリスマス・イブ


「買ってくる!」
アパートの外階段を降りるあたしの背後から声が届く。
「まてよ!俺も行くから。」
「早くして。」
この二人の声はすぐにわかる。
我が隣人だ。
同棲生活の学生だが、諸事情からあたしは彼らの監視、警護も務めている。
あたし自身は民間の警備保障会社の一員。
借上げ寮として彼らの隣室をあてがわれている。
彼らには秘密の事だが、その「諸事情」は共有しているのだろう。
それにしても、人手不足とはいえ、この公私なしの担当扱いは如何なものかとも思う。


「あら。こんにちわ!」
コートから出したパーカーのフードを目深に被った女性が、のんびりと歩くあたしを追い抜く。
弾む様な足取り。
隣人のあたしに気が付いて挨拶したのだ。
「ハイ~。」
あたしは、同年代の女性らしく小さく手を振って対応する。
輝く笑顔とオーラ。 彼女が近付くたびに、本当に特別な存在なんだと思う。
曇り空、冷え込んだ夕方。 雪でも降りそうよ、一人?
一瞬でも感心できないな・・・って、
心配して目で追うあたしのかたわらを、青いフィールドコートをはおりながら男性がすり抜ける。
「おい、待てよ。俺も行くって。」
小さな会釈もそこそこに、数メートル先の彼女に追い付き、つかまえる。
彼女が彼に腕を絡める。


買い物って言ってたよね?
このあたりなら軍のPX(基地内の購買部)が一番大きなマーケット。
あたしの目的地も一緒だった。
自然、楽しげなカップルを尾行する形になる。
まだ夕方だが、すでにあかりが点いた外灯の下を歩く。

っっ・・・ジーンズのお尻で携帯か震える。
私用、番号は・・・なんだ 「トム。今日の担当はあんたか?」
掛けてきた相手がしゃべるより先に、あたしがしゃべり始める。
仕事仲間だ。
非番のあたしに変わって、今日の警護担当。
トムが「警備御苦労さん。」と見当違いを言う。
「別に彼らを尾行しているわけじゃない、たまたま方向が一緒だから・・・さ」わたしの答えに、トムが笑い、続く少しの会話で電話が切れる。
どこかそこらで、自動車にでも乗って監視しているはずだ。
前を歩く彼らとあたしの組み合わせを見たのだろう。


・・・。
あたしはぼんやりと、楽しげな彼らについて距離をとって歩く。

さて、
軍のPXといっても、店構えや規模は街中のちょっとしたスーパーマーケットと変らない。
クリスマスの飾り付けが華やかだ。
そうか、今日・・・。


寒い外から暖かい店内に入った彼女が、パーカーのフードをはずす。
髪がこぼれる。
彼がフードを元に戻す。
再び下げた彼女と彼が小さい声で、「目立つ。」だの「暑いんだもん。」とかやってる。
あたしからは、彼女が困らせようとしているのがみえみえだ。
しばらくの問答のあと(そのほうが目立っていたが)、ワゴンセールで並んでいたカラフルな耳付の毛糸帽を彼がとり、彼女に被せた。
両脇に毛糸で編んだ三つ編みが下がる、彩りの可愛いニット帽だ。

笑顔、彼にポーズをとって見せる彼女。
泣いたお嬢さんがすぐに笑った?って、とこ。
安物のニットがすばらしく可愛く見える。
あたしも買おうかな・・・。


そんなに大きくは無い店内。 
あたしはあたしの買い物を続けるが、長身の黒髪ポニーテールと、帽子(まだ未清算)で髪を隠した薄い色のサングラスの女性の組み合わせは目立つ。
ときおりこぼれる、ピンクのストロベリー・ブロンドならなおさらだ。

今度はシャンプーのブランド選び?
これがいいから使いなさいって彼女。
「薔薇の香りは嫌だ。」って彼。
そりゃあそうだろう。 男性でなくてもそれはわかる。
彼女と同じ匂いは周囲にアピールが過ぎる。
結局、彼女のとは別の男性向けのシンプルなブランドを選ぶ。

次の売り場に、スタスタと歩く彼女を、彼がカートを押しながらついてゆく。
ふっと彼が立ち止まり、陳列棚の何かをさっと物色する。
一箱を取ると、さっきの詰め替えボトルとのすき間に押し込む。
それから、振り返った彼女を追った。

その棚に近付いてみてわかる。
「ああっ(・・・なんだ、避妊具か)。」

あたしが買い物を終えてもういちど店内を見渡すと、あのカップルはリカースペースにいた。
どうやら当初の目的はこれだった様だ。
スパークリングワインか、シャンパンの物色をしてる。
ボトルを手に取りながら彼が言う。

「醸造アルコールの輸入品はまだ高いな。」
「こっちの安いのとどう違うの?」
「こっちは疑似アルコール。 もともとはゼントラーディのナノテクノロジーの民生転用品。」
「だから、どう違うの?」
「飲酒効果の持続時間の設定が出来る。 あと、分解の時にアセトアルデヒドが出来ないから二日酔いがない。」
彼女が呆れたような顔をする。
「いいことづくしじゃない。 安い方でいいわ。」
「ははっ、本物はもう少し余裕ができたらな。」
彼の手が疑似アルコールのボトルを取った。


あたしは携帯電話を取り、先程の番号をコールする。
「・・・ああ、トムか? あたしは先に帰るよ。」
「・・・」不満げな声。
「バカ言うな、今日のあたしは非番だ。 明日、報告を聞くよ。」
明日の夜は空いているのか?と、続けるトムの会話を全ては聞かずに電話を終わらせる。
振り返ると、あのカップルはレジにいた。
プレゼント(?)の帽子はレジのカゴに入り、パーカーのフードを起こした彼女は、彼の後ろにぴったりと納まっている。

「(メリークリスマス~♪)」
あたしは小さく口にすると店を出た。






帰り道。
手をつなぐ二人に、柔らかい雪が降り始める。
「わあ、雪・・・」
シェリルがため息のように言葉を発する。
「降って来たな、急ごう。 料理もケーキも出来てる。」
「そうね。」
アルトの答えを聞き、それでもシェリルは急ぐこと無くゆっくりと歩く。

雪がシェリルの新しい帽子に優しく落ちる。
「こういうの・・・夢だったの。」
シェリルが小さくつぶやいた。
「ああ。」
アルトも小さく答え、繋いだ手を握り返した。


FIN



終わり!

ええとね、この辺とかに航宇科分校の設定があります。
分校物語1
分校物語2

レイチェル・マロンはこの話とか、 ハニートラップ最終回
このはなしに、 デート大作戦


シェリルとアルトに、ささやかでも幸せなクリスマスがあることを祈って。
メリークリスマス〜♪




追;いいわけ、お詫びは明日以降で書きます。すんません~。


スポンサーサイト
  1. 2014/12/24(水) 23:57:33|
  2. 作品(マクロス小説)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<こういうの夢だったの・・・ | ホーム | 志賀から帰った。スピンした・・・>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kikikix.blog.fc2.com/tb.php/954-a12434ca
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

kikikix

Author:kikikix
アルトとシェリルでSF風ショートショートがメインです。
ちょこっとフイギュアとかに逃げる時があります。
SSは「~年表」が作品リストになってます。
フィギュアは?まあこういうのもフイギュアって言ってOK?

カテゴリ

未分類 (16)
日々 (1022)
アルシェリ年表(小説SSリスト) (5)
作品(マクロス小説) (121)
拍手返事 (33)
菓子箱バルキリー (22)
シェリルふいぎゅあとか立体系 (376)
いただきもの (14)
リンクフリーです!リンク集 (3)
お絵かき (21)
3周年! 薄い本大作戦 (72)
4周年! 紙人形と薄い本作戦 (51)
女子はいつ腐るか? (16)
けいおん!(りある (3)

最新記事

月別アーカイブ

くんたっしゅ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR