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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

シェリル・ナイト 13  フォールド・ウィルスの呪い

わっははは、わりと真面目に「起承転結」やろうとしてるのが見て取れると思うなりが、問題は「結」が貧弱なことだ。
アクションシーンに入る前に再び潜って考えよう。
うん、そうしよう。
しのごの言ってすんません、読んでやってくださいー。

ガイノスで少女と共に誘拐されたアルト。 幽閉されたアルトは、少女から思いがけない話を聞く・・・。







「ママに会いたくないの?」
アルトの問いに、ヌーリィの小さな声の返事が返る。
「そんなこと無いけど・・・」
じっと耳を澄ますような仕草、少しの沈黙。

「ねえ、アルト・・・」
突然、グイッとアルトを引き寄せると、その耳に、ヌーリィがかすかにつぶやいた。
「(逃げようよ)」

「・・・なにか策があるのか?」
突然の提案に驚きながらも、アルトも小さな声で返事をする。
ほとんど口を動かさない返事だが、監視、盗聴する側には筒抜けだろうか。
ヌーリィがアルトを見上げた。

キィン・・・
結晶とか水晶体が震える様な音?がした。 深く静かな洞穴で話す様な余韻を含む声が届く。

「(これ・・・、ひそひそ声で話してるんじゃないのよ。 アルトはテレパシーって知ってる?)」
小さく笑うヌーリィ。
その口が動く。
「アルトはすごくハッキリ聞いてくれるのね。」


ヌーリィがふたたび満面の笑顔をアルトに返した。
「(こんなに最初から分かりやすく伝えられる人って初めてよ。)」
その口は動かない。
「!」

これは?
フォールド波での会話・・・アルトには経験がある。
バジュラ女王のかたわら、濃密なあの空間では、思考が波となって伝わった。
シェリルとも、ランカとも、距離を超えての会話ができた。 そしてはるか彼方からでも、しっかりとその姿を見る事ができた。
伝えたい思いが彼女に届き、彼女の身を切る叫びがちゃんと自分の耳にも届いていた。
そう、あの想いを受け取っていたから、俺は彼女のもとへ帰る事が出来たのだ。
フォールド波を繰り出すウィルスと、増幅させるクォーツの力で。

「どういうことだ?」
口にしてから気が付く。
ヌーリィは体内にフォールド・ウィルスを持っている。
疲労時の発熱や症状、あの薬からも、そう判断して間違いない。
そしてアルトは、イヤリングを今、胸に納めていた。
あのフォールド・クォーツでできたシェリルのイヤリングだ。

口を開きかけたヌーリィに無言で話しかけてみる。
「(俺はこの方法での会話の経験がある。だが、どうすれば伝わるのかは知らない。)」
アルトの問いにヌーリィが返事をした。
もちろんその唇は動かない。
「(話しかけるのよ。ちゃんと誰に、何を伝えたいか意識して。 頭の中でもちゃんと言葉にするの。アルトはもう出来てるよ。)」

ヌーリィがにっこりと笑った。
12歳の女の子の笑顔としては大人びたものだった。




「(最初は自分でも気がつかなかったの。)」
並んで座るアルトにヌーリィが語りかける。
もちろんそこに『声』は存在しない。
「(でも、ギャラクシーから・・・あっ、あたしね、オリンピア人だけど、ギャラクシーで生まれたの。パパが駐在職員だったのよ。)
(・・・赤ちゃんのころからギャラクシーとオリンピアの間を、フォールド航法で行き来してた。だから、フォールド空間で『それ』が聞こえる事に違和感はなかったの。)」
「それ?」
アルトが声に出す。
ああ、口は開けなくてもいいのか…。
「(フォールド航法の間は、みんなが考えていることが伝わるし、遠くに離れている人の会話が聞こえるの。ぼんやりと、小さいあたしには意味もイメージもつかめなかったけど・・・、なんだか悪い夢みたいだった。)」
「・・・。」

「(でも、だんだん聞きたい声だけ選んで聞きとることができるようになった。それとフォールド空間に頼らなくても、フォールド波での会話なら聞こえるようにもなったみたい。)」


「(パパが巻き込まれた時もすぐに分かったけど、ママは信じてくれなかった。 あたしに『説明出来ない事言わないの!』って。 ずっとママの心にはねのけられた。)」
「(巻き込まれたって、事故かなにか?)」
「(オリンピアから仕事でギャラクシーに戻ったパパは、あのフロンティアとの争いに巻き込まれて行方不明になっちゃったの。 あたしは死んだって、すぐに分かったけど、ママは信じてくれなかった。)」
アルトが息をのむ。
「(バジュラ襲撃の時にギャラクシー船団に居たのか?)」
「(パパだけがね。)」
「(そうか・・・)」
「(パパが死んだ時、パパははっきりと私に話しかけてくれた、『ママを大事にしろ』って。 でもあたしはママを悲しませてばっかり・・・)」

アルトとヌーリィが閉じ込められた、白い部屋の中は、静かだった。
小さくうなる様なノイズは、移民船団では生活について回るものだ。誰も気にしたりはしない。

「(それから、同じ場所からシェリルとランカの歌が聞こえたわ。)」
少女が抱えた自分の膝に顔を伏せる。
「(アルトもあそこにいたの? シェリルが叫んでいたのはあなたの事?)」
「(ああ。)」
アルトはヌーリィの肩に手を置いてやる。
「(あそこにいたよ。)」





古びた椅子に座る老人が、青年を前に一人でしゃべっていた。
部屋は電子の閉鎖空間であり、細部は見つめられる事を拒む。
ぼんやりとにじむような壁の部屋。

「フェアリー・ツウエルブ・・・か。 わたしが関わった最後のプロジェクトだな。
『フェアリー12計画』は、弱体化ウィルスによるワクチン型フォールド細菌の応用計画だった。
V型感染症治療薬の開発をうたっていたから、わりとオープンな研究環境でね。
だが、我々の目的は別だった。
フェアリー9や、リトルクイーンに頼らない、もっと大供給が可能なフェアリー計画。
それが12(ツウエルブ)だった。」


無表情な青年が応える。
「なるほど。
今回のサンプルは、オリンピア人の娘。 ギャラクシーに両親と駐在していた時に小児医療でミス感染。
何年も放置されていましたが、いまは毒性は薄いものの彼女の疲労などで発熱や発作が繰り返されます。
治療薬として対処薬が出て居ますが、病気を根治させる薬ではない。

彼女以外の、旧ギャラクシー籍のその他の『フェアリー12』達は、ほとんどが戦役の犠牲になり、数名の生き残りも、新統合政府の保護管理下にあります。
このオリンピアの少女は医療事故であるがゆえに放置されていました。
彼女がフォールド細菌によってどんな能力を得たのかはわかりませんがね。 
だが、じゅうぶんにフォールド空間の把握能力があると思われる。」





「(それでね…、あたしずっと聞き耳をたててたの。フォールド波であたしたちの事をしゃべってる人が居ないかって。)」

少女の瞳がアルトを見つめていた。



続く!
次回はシェリル回でっす!

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  1. 2014/12/07(日) 21:16:44|
  2. 作品(マクロス小説)
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