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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

シェリル・ナイト 12  オリンピアへ

例のふくらませすぎて収集がつかないブツです。
このあとの展開が構想ではかなりシンプルでしたが、ここまでやると「そんなんで終わり?」って雰囲気に。
で、プロット組みなおしてますが・・・・ああ。




バジュラとの戦いが終わって。
目覚めたシェリルがやっと起き上がったころ。
彼が帰還した。

それからしばらくして、リハビリの震える足でようやっと歩くことができた頃。
アルトは一緒に暮らそうって提案してくれた。
二人で生きようって。

もう一人ぼっちじゃないんでしょ?
ずいぶん遅いんじゃなくて? って、返事した。
泣きそうになるのを堪えてみたけど、ちゃんと出来たかどうか良く分からない。


そうやって静かに歩み始めた二人。
でも、シェリルが再び陽の当たる場所に戻るためには、解決しなければいけない事が幾つもあった。
バジュラ戦役は、異星種族との大戦争であり、ギャラクシーとフロンティアという船団同士の争いでもあったのだ。
シェリルは、その一方の象徴だったのだから。


二人で選んだ古いアパートは、フロンティア政府の証人保護プログラムで用意されたものだった。
「安全」ではあったが、立派なものではなかった。
ワンルームとリビンク、それに辛うじて大きいといえるクローゼットのみの部屋。
男女が一緒に暮らすにはいささか小さく思える。

・・・かまやしない、どうせ二人には運びこむ荷物などほとんどないのだから。
ましてシェリルの私物は、本当に何もない。
本当に大事なものは、彼と分かちあった、小さなイヤリングくらい。

政府に凍結されたシェリルの資産は、その大戦役の後も、何もしないでも増え続けていたが、その当時は使うことも触れることも許されなかった。
生活保護のわずかな支給と、学生とSMS勤務を両立させた、アルトのパート給与のみで生活しなければならなかった。

・・・でも、シェリルにはなにもかもが、新鮮で幸せだった。
小さなアパートメントでの小さな生活。
何よりも大好きな人とのたっぷりの時間。



鍵を受け取ってきたアルトに連れられて、その古いアパートメントに上がったシェリルは、何もない部屋に笑ってしまう。
「ベッドもないわ!」
「そうだな。夜寝るところが無いのでは困る。」
つぶやく様に言う彼のまじめな横顔がやっぱりおかしくて。
「でも、ベッドを入れたら部屋がいっぱいになっちゃう!」

笑い続けて、狭い室内を見て回るシェリルをつかまえて、アルトが優しく言ってくれる。
「ほら、いつまでも笑って無いで、必要な家具をオーダーしなきゃ。」
「オーダー?」
アルトを見上げながらシェリルが聞く。
こうして並んで見ると、アルトの背が自分より高い事がわかる。
玄関で靴を脱ぐスタイルの部屋だからなおさら。


「おまえ、俺の話を聞いて無かったな? 必要な家具はネットのカタログから選ぶんだよ。 部屋をみながら選んだ方がいいかもって言っただろ?」
「ああっ、そう言う事なんだ。」
もう一度、がらんとした部屋を見回す。
「何にもないのも楽しいのにね。」


それから二人で、フォロ・カタログを使って家具を選んだ。
小さめのシェリルの鏡台と二人で一つのタンス。 ソファなんて置くスペースはないから、折り畳みのローテーブルとラグ。
ベッドもあきらめてフトンのセット。
ふふっ、寝るときに出して、昼間はしまうのよ?

「二つ要るだろ。」
「一つでいいわ。必要なら増やせばいいし。」
「・・・。」
アルトはなにも言わずにシェリルの選んだフトンをクリックする。
数量 × 1

それから、レイアウトをやはり仮想フォロで(ケータイから浮かび上がらせた補助画面で)、二人で決める。

「よし。すんだら夕飯の買い物に行こう。その間に配送も終わるだろ。」

変装・・・と称して、すみに置かれたダンボールからアルトの服を引っ張り出して、片っ端から袖を通す。
もっとも、彼の私服は涙が出るくらい少なかった。
シェリルの髪がすっぽり納まるニットの帽子と、男物のトレンチコートをはおった。
「どう?」
「とっても地味で似合うよ。」
「なにそれ。」

それから初めてのデートみたいに二人で出かけた。


それはオリンピアに移る前の、フロンティアという新しい惑星。
アルトとシェリルがやっと助走を始めたころの思い出・・・。



「・・・んっ」
狭いシートで寝心地をもとめてポジションを探す。
ダメ、体がイタイ・・・。

輝度を落とした計器類の灯がうすく目に入る。
「アルト・・・」
口にしたことでシェリルの意識が繋がってしまう。

「"シェリル様。着艦の許可がおりました。オリンピアです。"」

やだ、まだ眠い・・・。
キットの呼び掛けに応じて、シェリルはゆっくりと体を起こす。
クインーンズナイツのコックピットからは、すでにオリンピア船団を望めることができる。
ハブ・フォールドポイントを擁する空間に、長期繋留した大船団と、それを守る大艦隊。
乗用車を抱えたVF25は、そのまたたく船団にすいこまれる小さな光点となる。


海洋をたたえた都市宇宙船団がじょじょに近付く。
放たれた装甲天蓋は宇宙に浮かぶ生命の窓だった。
のぞきこむその内に広がる海面の輝き。
偽物とか、本物とかではない、ほんとうに美しいかがやき。

透明な保護膜の下を飛んでいるのは鳥か、あるいは飛行装具の人なのか。
白い翼が大気を捉える様が見える。

オリンピア船団。
いまは、アルトとシェリルが住む街。
帰って来た。
そう、あたしは取り返す。
もう何も無くしたりしない。





「"シェリル様"」
「って、びっくりした。何よ?」
イヤホンチューブからだ。
「"シェリル様からみて左手の通路を走っていく女性が見えませんか?"」
シェリルは腰かけていたソファから顔を起こす。

宇宙港で、VIPゲートからオリンピアに降り立ったシェリルは、今回の事件ですっかり相棒となった車が通関作業を終えるのを待っていた。
アルトが、数年前にランカ・リーの一方の兄オズマ・リーから譲り受けた、ランチア HFインテグラーレ。
ハッチバック2ボックスの20世紀のラリーカーを模した車。
車載AIは、SMSから横流しされた軍規格品であり、もはやナビゲーションシステムとは言い難い高度なソフトになっている。
何度かバージョンアップをして、着いた名前は「キット」だ。
なんでそんなニックネームなのか、シェリルは知らない。
アルトがそう呼ぶから。

政府関係者やVIP専用の、貴賓エリアのシートに座るシェリルからは、遮蔽ガラス越しの廊下を走る女性が見えた。
シェリル自身は、パイロットスーツから、ガイノスを出るときの服装に戻っている。
薄い色の大き目のサングラスを少し傾ける。

足早の女性。しっかりとしたスーツと、クラッチバック。
「誰?」
「"シャーリ・イルミハ、ヌーリィお嬢様の母上です。"」

長い髪が揺れている。
慌てている。

「どういう事?」
「"彼女は、誘拐事件の報を聞いて星系外からオリンピア船団に帰国していました。 ガイノスからヌーリィお嬢様が戻ってくるのを宇宙港で待っていたのかと。"」
女性が、エスカレーターに消える。
「ヌーリィが予定通り上って来なくて、確認したら、再び行方不明になってたから?」
「"ええ。そんなところでしょう。"」
「彼女はどこに行くの?」
「"わかりません、ちょっと都市の警備網(ネット)でトレースします。"」
「・・・。」
母親か・・・。
シェリルは女性が降りて行ったホールを見つめる。

「キット!さっさと税関なんかすませて、こっちに迎えに来なさい。 こないとタクシー拾っちゃうわよ。」
「"ああっ、お待ちください。 すぐに参ります。"」
キットの不満げな声が届く。
まったく、このシェリルを待たせるなんて、たかがAIのくせに、数億年は早いのよ。






「"大尉。お目覚めかな?"」
もう一度声がする。
アルトは、少女とともに周囲の気配を伺う。

人の気配はない。
「"ははっ、警戒しなくていいよ。この三人で会うのは初めてじゃないしね。"」

「誰・・・だ?」
声が聞こえる方向を探る。

静かな部屋に、低くロードノイズのような音がこもる。

ガタッ
「・・・。」
部屋が揺れた。
今の揺れ方は、コンテナだからか? 人工重力環境を走る車の揺れ方だ。
「"もうすぐだよ。別に急いで無いからゆっくりしてくれたまえ。"」
声だけが聞こえた。





それでも、税関手続きはあっさりと終わった様だ。
乗用車を抱えたVFという非常識な組み合わせだが、ガイノス基地からはアニーが。
経由したスカイフック公社のプラットホームからは、面会したキャプテンが連絡、報告してくれていた。
そして、すこしくらいの奇行は、やはり有名人、VIPであることがカバーしてくれる。

わざわざマイカーを抱えて「銀河の妖精」が降臨だもの・・・。

「"久しぶりのオリンピア船団です。"」
キットに乗換え、運転を再開したシェリルに車載AIが言う。
シェリル自身は、オリンピアの市街に車ででるのだからと、宇宙港のブティックフロアで買った白のパーカーを羽織っている。
万人受けするブランドロゴがもう一つ気に入らないが、致し方ない。
ハンドルを握ってシェリルも聞き返す。
「ゲートキーパー基地からのシャトルはもう接舷したの?」
「"はい。"」
「アルトは?」
「"正規の乗客、貨物リストにはもちろんありません。"」
「探して・・・。」
「"はい。"」

明るい陽光と、20世紀の北米西海岸を模した街並みが過ぎる。
フロンティアよりも、オリンピア船団の天気は、乾燥した好天に設定されている。
さわやかな初夏の風が気持ちいい・・・。




コンテナの扉が開き、数台のルンバに駆り立てられて、アルトとヌーリィは別の部屋に移された。
白い壁に挟まれた、ホテルの? いや宿直室の様な部屋。

ベッドは二つあるが、警戒する二人は寄り添ったままになる。
長身のアルトと少女では親子でも通じそうだった。

「ママ・・・心配してるかな。」
ベッドに腰掛け、膝を抱えたヌーリィが呟く。
ガイノス基地からずっと同じジャンパースカート。
彼女がなぞるその裾が、ルンバから逃げ出した時の傷で少しささくれていた。
「オリンピアの宙港でヌーリィを引き渡す約束になっていたよ。」

アルトが返事を続ける。
「心配していると思うよ。」

「やだな・・・」
小さくつぶやく。
「なぜ?」
アルトの問いに小さな声で返事が帰る。
「・・・何でもない。」





やり切れない感覚。
あの地下で少しだけ会えた彼は、いつも通りの毅然とした姿だった。
インカムごしだが、ちゃんと話も出来た。 帰って来たって、会えたって、思ったのに・・・。
でもまた行方不明・・・。
ああっ!もうやってらんない!

「キット!運転もまかせるわ。」
ハンドルから両手を離し、パーカーを深めに引き上げて顔を隠す、シートに深く沈む。
頬杖をついてサイドウインドウにもたれた。
少し慌てた様に、車載AIがハンドルを操り、自動操縦が始まる。

ふんっ、こんなしぐさ。どうせキットがわざとやっているのだ。
AIは人間とのインターフェースにもわざわざ演技掛かった手法を取りがちだ。
きっとその方が、ヒトに伝わりやすいと考えているのだろう。

だからやることなすこと大袈裟な・・・って。


車窓が流れる。
シェリルは考え続ける。
見慣れたオリンピアの町並み。

今回の敵はAIとか人工知能じゃない。
こんなにしつこいのは、もっと泥くさい人間がやることだ。

そして、機械、プログラムへの干渉具合は少し度が過ぎる。
ヒトがやっているとしたら用意周到すぎない?

ガイノスでのルンバのコントロール、脱出貨物シャトルの手配。
こんな事ができるのは・・・。

そう、ギャラクシーなら?
ヒトの老獪さと、機械の周知さの融合・・・あのろくでもない私の故郷・・・。

「キット? オリンピアの旧ギャラクシー系の企業とか団体とか、在郷会みたいなのも調べて。 まだ幾つか残ってるはずだわ。」

そう、アルトと過ごす予定だった10日間の休憩は、もう残り5日しかない。
早く取り戻さないとせっかくの休暇が終わってしまう。




「取引かね?」
「ええ。こちらとしてはあたらしい犠体が欲しい。」
ブラインドの降りた暗い部屋。 外から漏れる光も、軋む床も、木製のデスクで向かい会う男達も、どこか嘘臭い。
作られたセットにいるような。

「だが、あんたは死んでいるよ。」
初老に見えた男が言う。
「あんただってそうだ。」
もう一人が応える。

鼻で息をつく返事。
「ふんっ、減らず口を・・・。」


しばらくの沈黙の後に、言葉が続けられる。

「で、取引材料は?」
「フェアリー」
「・・・。」
「フェアリー 12」
「・・・」


突然、
その居室空間全体が暗い漏斗の様に引き絞られる。
引き離され、情報のマトリックスに沈んでゆく。
それは仮想の空間であり、情景であり、 
そして今、その空間の主が、秘密を守るべく自ら施錠したのだった。




続く!!
お話の解説は明日以降で。
ああああん、続きかけるかなあ・・・、気長に待ってーーー。
すんまそ。
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  1. 2014/11/27(木) 22:44:52|
  2. 作品(マクロス小説)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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ちょこっとフイギュアとかに逃げる時があります。
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