ええと、別冊フレンドを立ち読みする勇気を得るために激しく酔っ払ったKIです。(単行本買うから勘弁!)
で、あれってさよつばの続きなの?
それと本題。ひさびさにSSうp。
でも前編だけ。
続きも書いたよ、今日の電車で。けどうpするには酔っ払いなんで・・・。あっ、別のがうpしそう・・・(←ばか)。
タイトル通り、ミリタリーSFもどきです。
最後までアルトしか出てきません。
いやはや読みたい人いるのかなあ・・・。けど、書いてて楽しいからいいや。
続きを楽しみにしてくれる人は週末までにうpするから、待ってて!!
ガイノス降下作戦
「大気圏突入用EXギア?」
「ああ、まだ試作品の域を出ないが、兵装規格は先日合格している。 今回の作戦に供出できるのは3セットだけだ。 予備体はまだあるが、十分なステルス機能と光学迷彩装備を準備できるのは3体が限界だった。」
アルトの質問に技術大尉が答える。
ここはガイノス衛星軌道上にある新統合軍基地だ。
目の前のハンガーにぶら下がるそれは、たしかにEXギアの姿だ。
だが、単独での大気圏突入を可能とするために?
全体でみるとすでにVFのコクピットに納まるサイズではない。
丸いフォルム、特に頭部のデザインは流線型を描き、通常のパイロット装備と大きく違う。
(「突入する筋肉質のスモウ・レスラーか? 地上から打ち上げる訳じゃないから、再突入とも言えないしな・・・。」)
惑星近傍での作戦において、被弾し大気圏に落下したVFの場合、まずパイロットの命は助からない。
超高速での落下は、機体によって押しのけられる惑星大気により、断熱圧縮が起こり、表面温度が1500度以上ともなる。
最新VFと言えども、エネルギー転換装甲とピンポイントバリアーの併用が欠かせない状況であり、ましてや破損した機体では姿勢維持もままならない。
バラバラになって燃え尽きるのがオチだ。
アルトも一度だけ、戦闘で疲弊した機体で大気圏突入を果たした事がある。
あの時も鳴り止まぬアラームと格闘した。
暴れる機体を制御し、なんとか成層圏を抜けたが、機体は地上に無事に降ろせる状態ではなく、結局投棄せざるを得なかった。
いかにも技術畑の、戦場に出た事など無いといわんばかりの大尉が説明を続ける。
「もう少し開発が進んで、コンパクトになれば、緊急脱出したパイロットでも、大気圏への帰還が可能になるってわけさ。」
・・・・・・・・・・・・・・・
ガイノス4で誘拐事件があったのは2日前。
11歳の行政府職員の娘がさらわれた。偶発的なものか計画的なものか判然としない。
誘拐犯は4人。いずれも星系外から流れてきたグループだ。
追い詰められた犯罪者グループにしては、持ち込んだ武装はかなりの量があり、組織的な背景の関与も疑われる。
4人の内、2名は旧ギャラクシー船団の出身だ。
そして休暇をオリンピアで過ごす予定で、衛星軌道に上がったアルトが足止めを受けたのは3時間前。
作戦の概要を先ほどの大尉が続ける。
「犯人は4人。いずれも銃火器で武装。 自動小銃以外にも爆発物の存在が確認されている。
中緯度地方の森林地帯で、民間山荘に立てこもっている。
半径3kmに自前の小型の巡回ドローンを泳がせている。 安物だな、誰彼かまわずにレーザーをぶっ放す危ない奴だ。おおよそ20機。ちょっとシロウトの物量じゃあない。
ドローンはドーナツ状に周回。逆に山荘周辺100mには近寄らない。たぶん敵味方識別ができないタイプだからだろう。犯人自身がやばい? 以上は衛星高度から確認済み。
同時に熱源確認で、人質の少女は1階の客室に閉じ込められていることも確認済み。
3人の犯人は位置特定が可能だが、一人だけセルフ・マスキングができる様だ。
これも推測だが、旧ギャラクシーの残存技術だろうな。ボディ(擬体)の熱源をシャットダウンできるのかも。」
「要求は?」
「星系外への逃亡と宇宙船だが、いまどきの要求としては陳腐だ。やぶれかぶれか、何か別の目的があるのかもしれない。」
大尉は作戦の立案までは関わっていなのだろう、説明もたどたどしい。
「したがって、中尉には彼らの警戒域の内側に滑り込んでもらい、そのまま突入。人質の救出に当たって欲しい。」
「わざわざ衛星高度から?」
「人質の問題もあるが、場末の犯罪者集団にしては装備が充実している。航空機や地上車両の近接感知装置(レーダーのような)も持っている。 ここまではすべての接近で『人質を殺害する』で警告されている。」
「突入を急ぐ理由は?人質の安全が確保できない可能性がある。」
「少女の持病の問題がある。あと14時間以内の投薬が必要だ。」
アルトは少し困った顔をする。
「あと最後に。 降下指揮をとるのがSMS所属の自分である理由は?」
「人材不足でね。EXギアのプロフェッショナルで、実戦経験があり、要人警護、人質救出作戦スキルを持ち、かつ10時間以内に召集できるのは中尉しか該当がなかった。」
アルトは静かに応えた。
「了解。命令を受領する。作戦で降下する人間は?」
「オリンピア新統合軍海兵隊員が二名。ラン・ファ曹長、東洋系の女性だ。武装に関する造詣がある。 ペータ・バウアー軍曹、EXギア降下のテスト経験者でもある。 あとは、EXギア内に最新の戦術支援擬似AIが搭載されている。
愛称は『バト』だ。 コロンブ・コ社の人工知能もどきだ。」
「ふむ・・・、心強いな。メンバーに引き合わせてくれ。」
「中尉、すまんな。休暇前だってのに。」
「かまわんさ、せいぜい半日仕事だ。」
アルトが応えた。
急編成された、アルトと二人の海兵隊員のチームを乗せて、兵員輸送船は降下開始地点へと向かう。
衛星高度から、地上目標数メートルへのピンポイント降下だ。
いい加減な精度で出来ることではない。正確な降下タイミングの特定が必要だった。
オリンピア海兵隊装備と大気圏突入用EXギアに身を包み、チームは静かに輸送船が進むのを待つ。
「隊長のイヤリングは御守りですか?」
30代前半か?アルトよりも年配のペータ・バウアー軍曹がEXギアのコムリンクから言う。
突入用ヘルメットを装着する前に、アルトはいつもどおり左耳にイヤリングを付けた、そのことを言っているのだろう。
「そんなようなものだ。」アルトが答える。
「はは、女性物ですね。 私なんぞは、女房からちょっと摘んだ『ちぢれ毛』をね。」
軍曹が自分の胸のあたりを指し示しながら言う。
「また古臭い・・・。」ラン・ファ曹長が呟いた。
「人の御守りをからかうと、たたられますぜ、曹長!」
「別にからかっちゃ無いさ。私のだってかなり古臭い、年季もののウサギの脚だ。
地球時代から受継がれてるヤツだから、御利益バッチリだがな。退役する先輩マリーン(海兵隊員)から譲り受けた。」
アルトも会話に入る。
「へええ、帰ったら見せてよ。曹長」
「いいですよ。」
「俺のも見ますか?」ペータの目は笑っていた。
「はは、遠慮しておこう。」アルトも笑いながら答えた。
その時、機長のアナウンスが会話に割って入る。
「目標ポイントまであと5分です。 後部エアロックを開けます。」
わずかに残った空気が、埃と、水分とともに吸い出された。
高度120kmから見渡す惑星ガイノス4は、とてつもなく大きかった
夜明けの陽射しで、薄い大気圏の膜が見えるようだ。
「軍曹はこいつ(大気圏突入用EXギア)でのダイブ経験が有るんだよな?」アルトが眼下に広がる世界を見渡しながら言う。
「ええ、なかなかエクスタシーですよ、生身でのダイブは。 卵子に潜り込んでゆく精子のイメージですかね。 薄膜を突き破り、抵抗をあらがって、奥へ奥へって。」
「なるほど。」
そして、スーツから『バト』の声が割って入る。
本体は各個別々に装備された戦術コンピューターだが、チーム全体に話しかけるようなアクセスがなされる。
「降下カウントダウンします。 10秒前、・・・ 5、4、3、2、1、ゴー!!」
「行くぞ!」
「ヤーっっ!!」、「イエッスサー!」各々が気勢を発する。
アルトの号令に従い(正確には『バト』のリリース操作によるが)、三人は惑星ガイノス4の大気圏に飛び込んでいった。
「(なるほど、まさに大気とはある種の膜だ。)」
携帯型ジェネレーターが作り出すピンポイントバリアー越しに見える大気は、何度も打寄せる波の様なショックを繰り返す。
丸まった状態で、安全のための姿勢ロックが成されてはいても、時に暴力的な衝撃の連続は、手足がもぎ取られるかの様な恐怖を覚える。
その時間は、ほぼ15分程だった。
成す術もない胎児の様な姿勢ではあったが、アルトは、彼を包みこむ様に立ち上がり、迫り来る惑星地表を見つめ続けた。
「(御守りに愛しい人の毛か。 今度、頼んでみるかな・・・。)」
シェリルの反応を想像し、彼の口元が少し緩んだ。
周囲の高温プラズマが薄れると、再び冷たい大気がアルト達を急激に冷やし始める。
いよいよ本番だ。
EXギアの翼がゆっくりと展開し、風の感触を伝え始めた。
続く!!
書いたよん→
<突撃編>
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- 2012/03/22(木) 23:08:53|
- 作品(マクロス小説)
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