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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

決戦前夜28 <夢の記憶>

今回は、シェリルとオリジナル・グレイスの回です。
この前夜28でだいたいネタはおしまいです。 つまりサヨナラノツバサのノーザンクロスの前、
「グレイスは何を撃とうとして、オズマは何と戦っているの?」がそもそものネタなんですね。

どうでしょうか?ちょっと夢とか、回想とかが入り組んでるんだけど、伝わりますでしょうか?
よろしければお読み下さい。
ドキドキ・・・。
頭上で瞬く、光の数が減ってきた。
だが、いまだ繰り返される明滅は、すべて、人の命や、破壊の閃光だ。
こんな銀河中央星域まで来て・・・。 俺達は、何をやっているのだろうか。



<夢の記憶>


オズマは、それでもなんとか平らな場所を探し当てると、シェリルをそっと横たえる。
一瞬とは言え、真空にさらされたのだ。
もっとダメージがありそうなものだが、ふわふわの淡いピンクの髪も、白い肌も無事だ。
呼吸も正常。今は大きな心配はなさそうだ。
小さな緑色の生物が彼女の腹部に乗っている。真空中でも見えた、あのデフェンシブルフィールドのような発光は、コイツが作っていたのだろうか。
すこし弱っている? 今は発光を終えて、大きく呼吸をしている。
どこかで見たことがあるな・・・、ランカのぬいぐるみの一つがこんなデザインじゃなかったか?

ついてきた医療ドローンの一台が、スクリーンを、横たわるシェリルの体に這わせる、診断プログラムが走る。
そしてするすると、単分子膜の簡易シェルターがシェリルを包みこむ。

一瞬、白いガスが立ち込めて、すぐに消える。消毒と湿度保持のためのガスが吹き込まれたのだ。
その緑色の生物は、うずくまったままだが、薄膜の中に納まって、ホッとした様なしぐさを見せた。
シェリルの傍らで丸くなる。
このままで無害なのか?
ドローンも気にして無い。 認識できないだけかも知れないが。 ・・・まあ大丈夫か。


フロンティア行政庁仕様の緊張医療用ドローン。
球体で浮遊する、緊急ロボット衛生兵。 役割柄、かわいらしいフォルムのそれが、今は力強くも見える。
オズマも、周囲を警戒しながら、倒れ込む様にシェリルの傍らに座った。
彼女は、医療ドローンに任せよう。

周辺警戒網を起動してから、自分のEXギアの医療コマンドも走らせる。
こっちも限界に近いさ。
「・・・っ、肋骨か。 打撲、裂傷、皮下出血・・・。 あれだけの弾丸をくらったんだ。まあ無事な方がおかしいか・・・。」
次々と表示されるデータは、真っ赤な警告ばっかりだ。 投薬でなんとか気を失わずに済んでいる。

EXギアが優しいピープ音で、警戒システムの展開完了を知らせる。
よおし、しばらくは安心出来そうだ。

医療ドローンの一台も、続いて小さくピープ音をだした。
『応急処置完了・・・』データが掲示されている。
っと、もう一台のドローンに「(後は任せた・・・?)」、ホログラムデータの受け渡しをする。
そして、その最初の一台が去って行った。
フワフワと浮くそれは、次の医療現場に向うのだろう。

「(ありがとうな。)」

残ったもう一台が、シェリルを引き継いだ。
透明な単分子膜ドームに包まれた彼女に、ドローンの、繊細な操作腕がそっともぐりこむ。

シェリルの首もとを探った腕は、場所をきめると、ユニット式の皮下注射を施す。
「う・・・・」
気を失ったままのシェリルが小さくうめいた。
眉根が小さくゆがむ・・・が、すぐに、少し穏やかな表情に戻る。

白地に赤い二重帯の、通常とは異なるカラーリング・・・。
この医療ドローンは、何かの機能に特化した機体か?

「ピッ」、ドローンが、データを開示し始める。
「!?」
何気なく、ドローンの表示する画面を読むオズマの表情が変わった。

「!・・・V型感染症? バジュラのウィルス? ほぼ末期? 」
先ほどに比べて、穏やかさを取り戻したかに見えるシェリル。
だが、その口許の苦痛は隠し切れていない。

「頭痛、めまい、昏倒?こんな状態で歌っていたのか?」

次々と表示されるデータは、軍属でデータを読む訓練をしているオズマにはわかる。
「本当に、こんな状態で歌っていたのか?」

シェリルが、また、小さくうめいた。





・・・・・・。



そ~っと、忍び足だ。
門限を一時間? いや、まだ20分だけだ。 オーバーはしているけど。
でも、まあ、基本的に監視や、警備スタッフはずーっと張り付いてくれていたんだから・・・、きっと問題はなかったはず。


そーっとだ。
そーっと・・・。
早く横にならなきゃ。遅くなっちゃったのは事実だし。
明日、グレイスに謝らなきゃ。

まったく、アルトったら・・・、もう帰るって言ったのに!
ふふっ。 彼も別れたく無かったのかな?
えへへ、楽しかったなー。

思い出すだけで、シェリルの顔に笑みが浮かぶ。
もちろん、何があった訳じゃない、ただのいつものデートだ。
買い物して、お話しして、お茶を飲んで、散歩して。
でも4回目? まだ数えるほどしか、二人っきりの時間は作れてないけど、それでも楽しい時間であった事に変わりはない。


暗い客間を抜けると、シェリルは、自分の部屋にしている寝室に入る。
「ふうっ。」
後ろ手に扉をしめてから、シェリルは、寝室の明かりをつけた。

「!」
だが、浮かび上がった人影を見て、シェリルは心臓が飛び出すかと思った。
「グレイス!」


「門限やぶりね。」
「い、いやね。ビックリさせないでよ。 もう!謝るわよ、ごめんなさい。」
本当に、心臓がばくばくしている。 寿命が縮む・・・。

「監視システム、プライベートポリスの人件費。 あなたの『一分』を捻出するのに、いったい幾らかかっているのか? わかっているのかしら。」
腕を組んだグレイスが言う。
「ごめん。」
「早く寝なさい。」

はああい・・・。 不満気なシェリルの声はほとんど聞き取れない。


「・・・あと、今日は罰として医療ベッドを使いなさい。」
はっとしたシェリルが、グレイスをにらむ。

「やだ! あれはベッドじゃなくて、ただのタンクよ。」
「文句言わない。」
グレイスもにらみ返す。
「シェリル・・・、自由にした代償よ。 認めたくないかもしれないけど、フロンティアに来てから、あなたの病気はだいぶ進行しているわ。」

「・・・・。」
すでに不機嫌さも隠さずに、シェリルが小さくつぶやいた。
「でも・・・やだ。 医療ベッドは、夢が見れないから嫌いなのよ・・・  」
「なに?」

「なんでもない! 寝るわ!」






その通り、タンクね・・・。
シェリルが納まった医療用ベッドの動作確認をしてから、グレイスはその傍らでつぶやいた。
「おやすみ、シェリル・・・。 夢くらい見せてあげるわよ・・・あとでね・・・。」
グレイスは、明かりを消すと部屋を出た。
残されたシェリルが青白い光の中に浮んでいた。
夢をみることもない医療タンクで、彼女の表情は変わらない・・・。




・・・・・・。



! ・・・目が覚める。
「はあっ はあっ・・・

息が荒い。ここは?
自分がなんでこんな空間に、裸で浮いているのか分からない。
フロンティアの天蓋の上? はるか下方に、市街地のような風景が広がる。
でも、宇宙空間にしては星の輝きはなく、紫がかった雲のような、はっきりしない情景・・・。
夢?


「なんだか、すっごい辱めを受けた気分なんだけど・・・。」
いつのまにか、傍らに立った人物に気が付いて、やっと落ち着いた息づかいで、シェリルが言った。

「裸なこと? 服は・・・、そうね。 あってもなくても一緒だけど、自分でイメージして作れば問題はないわ。」
グレイスが応える。彼女はいつものスーツだった。
「?・・・」

「まだ、自分でつくるのは無理ね。 私が出してあげる。」

すっ・・・と、シンプルな、スウェットのような上下がシェリルを覆った。
「やだ、なにこれ?」
あわてて立ち上がったシェリルが、自らの体をはたくと、一瞬でビスチェのステージ衣装に変わる。
「あら?」


「ふふっ、上手じゃない。 こっちで、私とこんな感じで、生きていくこともできるのよ?
宇宙のどこでも行ける。なんでも手に入る。」
グレイスがいつになく優しい笑顔で問いかける。

一瞬、唖然としたシェリルだが、なんとなくグレイスの言いたい事が判った。
一緒に、ギャラクシーのサイバー空間で暮らさないか?っと、言っているのだ。

「グレイス、そんな生活じゃ人間とは・・・ 」シェリルは、言いかけた言葉を呑む。

「そうね。 私も・・・、もう人間じゃないし。」
グレイスが笑顔のまま応じる。

「そんなつもりじゃ・・・。」
グレイスのまなざしは変わらない。
「ふふっ、彼も連れて来れば良いわ。」
「アルトを? バカ言わないで。あの人はフロンティアの人だわ。こっちに生活がちゃんとあるもの。」
「今日は楽しかったんでしょ?」
「・・・うん。」
「そう。 ・・・なら、いいじゃない。」

「・・・。」
シェリルは応えなかった。



「そう・・・。 あら、いけない。 時間切れだわ。
これ以上あなたと話し続けると、夢の範疇を超えちゃう。 あなたの記憶に会話が残っちゃうわね。」
「え?」

グレイスが急に消える。
「おやすみなさい、シェリル。 無理に誘う気は、最初からないわ。」
「えっ、待ってグレイス。 まっ・・・






・・・・・・。


最後にあの子を、彼とのデートに送り出した、あの日の夜。
シェリルとそんなやり取りをした・・・記憶がある。
あの時、無理やりにでも、こっちに連れて来ちゃえば良かったんだわ。

数日振りに拘束が解け、自由?の身となり、自らの記憶を探っていたグレイスは、そんな事を思い出す。
ブレラも、「緊急時独立プログラム」で動いている。
彼は、サイバーグラント(ギャラクシーの怪物と化した首脳陣)の救出に向う。
私は、予備コマとしての、シェリルの確保が任務だ。
彼女はまだ生きている。


そして、ギャラクシーの不利となった時は、シェリルの・・・、いやフェアリー9の処分も実施しなければいけない。
しょうがないが、今はそれもくやしくてしょうがない。

あの時、無理やりにでもシェリルを連れてきていれば・・・あるいはこんな事態は避けられた。
シェリルが絶対に来ないって事は、分かっていたけど・・・。
それが判っていた自分が、他人の様で、それも悔しい。


シェリル・・・、バカな子。
私の命より大事なのに。

「(・・・私の命って、今はどこにあるんだろ。)」

穴だらけの裸体に、コートを羽織り、関節がすでに人間らしからぬ範囲で動いている。
だが、決然とした意志を持って、オリジナルのグレイスが歩く。
それは、暗い通路を抜けて・・・、廃墟と化した、フロンティアの市街地を目指していた。



つづく!


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  1. 2013/09/28(土) 09:15:01|
  2. 作品(マクロス小説)
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