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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

決戦前夜19 <潜入> 言い訳は明日!

決戦前夜譚   長い目次ちゃん。
決戦前夜1 <墜落>
決戦前夜2 <睡魔と魔女>
決戦前夜3 <魔女とお話>
決戦前夜4 <魔法の対価> 
決戦前夜5 <魔女と天使>
決戦前夜6 <魔女の動機>
決戦前夜7 <天使と会話>
決戦前夜8 <魔弾> 
決戦前夜9 <魔弾2>
決戦前夜10 <雨煙>
決戦前夜11 <雨煙2>
決戦前夜12 <朝>
決戦前夜13 <船団の野望>
決戦前夜14 <彼女の思い出>
決戦前夜15 <友軍>
決戦前夜16 <友軍2>  
決戦前夜17 <夢と。>
決戦前夜18 <デート大作戦>
NEW
決戦前夜19 <潜入>  

シェリル救出は、SMSの仕事。
あの女の子みたいな早乙女アルトが、愛する人のために活躍する。 

フロンティア救出は、私の仕事。
そのために、オリジナルのグレイスを確保する。 その記憶媒体に納まったログこそが、この事件の証拠となる。
そしてもうひとつ。
シェリルのイアリングを取り戻す事。
シェリルが祖母から譲り受けたそれは、地球由来の唯一のフォールドクオーツだ。
グレイスは、「"価値の分からない人達から取り返すの。"」と言う。

いいわ。どちらも経緯を説明する物証だもの。




<潜入>

一言で言えば、黒のタイトなパイロットスーツに、防弾仕様の薄いジャケットを着込んだのが、今日のスタイルだ。


「"このスーツ、与圧も出来るのよ。"」
歩き続けるマリにグレイスが言う。

「ヘルメットも無いのに?」
「そ、デフェンシブル・フィールド。 まあピンポイントバリアーの方が分りやすいかしら? その応用。」
「宇宙空間でも大丈夫って事? 何分くらい持つの?」
「"何分でも。でも窒息しちゃうから人間は三分かな。"」
「・・・窒息しちゃうんだ。」
「どうみたって酸素タンクなんてないじゃない。」
「それは気がつかなかったわ・・・。」

どうにも、こういう会話の時、グレイスのボケっぷりはすごい。
「(わざと?)」

ふんっ。 とにかく! 今日はこれから、軍施設に忍び込むのだ!!
ああっ・・・、なんて非日常的な試み。

「私は、ただの駆け出しダンサーなのに!」
マリから言葉が漏れる。

「"大丈夫よ。芸の肥やしになるわ。"」
「あんたはだまってて!」




マリはやっと指定されたエアロックを見つける。
すでに立ち入り禁止の保守区画を、相当歩いているが、簡易迷彩のこのスーツのお陰で、とがめられる事は無かった。
「(ってか、人も警備ロボットも居ないんだわ。)」

エアロックの物陰に納まり、ナンバーを確認。
間違い無い。
ここだ。

「"いい?エアロックから出たら、走ったりしちゃダメよ。壁面を蹴ったりしたら放り出されちゃうから。
で、歩いて一分のところにある避難ハッチから侵入するの。"」
「一分も・・・。」
「"避難施設は緊急艇にもなっていて、ゼネラル・ギャラクシー製。 エアロックキーが壊れやすいって有名だから。"」
「ホントに大丈夫なの?」
深呼吸をしたマリの操作に続き、あっさりとこちらのエアロックが開け放たれた。

瞬時にマリに迫る真空の力は、スーツの見えないフィールドの薄膜で押し返される。

「(無酸素よ。急がなきゃ。)」
瞬きもしない星々の輝きを見る時間は無い。 マリはフロンティアの外壁を歩き始めた。


音はない。
聞こえるのは自分の心音だけ。
少し寒い・・・。
凍り付くことは無いが、むき出しの?手や頬には、あきらかに冷気を感じる。
一方で、木星型ガス惑星の反射光が当たる背中は・・・、熱いのか? 明らかにじりじりとした熱気がある。
とんでもない熱交換システムが、自分の体の表面で、マキシマムに働いているのだろう。

「(さすが、定住惑星を持たないゼントラ・テクノロジー・・・。 宇宙での活動に関しては、なんでもござれね。)」
真空と、放射線にあふれる宇宙空間で、普通に歩きまわれることに、あらためて驚愕する。
「(無酸素だけど・・・。)」

白と黒のはっきりとした光が支配する世界・・・。
SF映画のようなフロンティアの船殻の先に、不意に、排気塔のような構造物が見えた。

「”あれね。”」
グレイスの呟きに応える余裕は、今のマリにはない。



すっと、空気が流れる感覚が戻る。
「・・・!」 無音の世界が音を取り戻す。
「ウォンン・・・・」巨大な構造体であるマクロス・フロンティアそのものの、ハウリング音が続く。街では聞こえない音だ。
この区画は、より『宇宙船』のそれに近い。


小さな瞬きの後で、非常灯が、通常灯に戻る。
「はっ! はっ、はっ・・・・はっ・・・」

エアロックが閉ざされ、満たされた空気をむさぼるマリにも、瞬時に「音」が戻る。
完全な静寂から戻ってくれば、それはビックリするような音の洪水だ。

「はっ、はっ、はっ・・・、ふー、 ふうー。」
やっと呼吸を整える。

「”お疲れ様。呼吸を整えたら行きましょっ。”」

「(判ってるわよ!)」
それでもグレイスの声は周囲を警戒する気配をしのばせている。
「・・・。」
いつもの、はいはいはいを言おうとして、まだ声が出ない事に気がついたから、マリは苦笑しながら、うなずく。
ここは、すでにフロンティア軍基地エリアの、最深部だ。


「"ここまでは順調ね。瑣末の警備システムなんてちょろいもんだわ。"」
グレイスが続ける。

「普通に歩いて行って、大丈夫なものなの?」
「"あら?排気ダクトとか通りたい?案内出来るわよ。"」
「興味ないわ。」

マリはゆっくりと立ち上がる。
「さあ、スマートに行きましょっか。」


続く!
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  1. 2013/08/07(水) 22:10:43|
  2. 作品(マクロス小説)
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