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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

決戦前夜譚その18 <デート大作戦>

決戦前夜譚   長いけど目次ちゃん。
決戦前夜1 <墜落>
決戦前夜2 <睡魔と魔女>
決戦前夜3 <魔女とお話>
決戦前夜4 <魔法の対価> 
決戦前夜5 <魔女と天使>
決戦前夜6 <魔女の動機>
決戦前夜7 <天使と会話>
決戦前夜8 <魔弾> 
決戦前夜9 <魔弾2>
決戦前夜10 <雨煙>
決戦前夜11 <雨煙2>
決戦前夜12 <朝>
決戦前夜13 <船団の野望>
決戦前夜14 <彼女の思い出>
決戦前夜15 <友軍>
決戦前夜16 <友軍2>  
決戦前夜17 <夢と。>

拍手ありがとうございますー、コメント読まさせていただいてます。
この↑続きです。  
決戦前夜18 <デート大作戦>
そんなワケで、私が二人のデート監視を、しなきゃいけなくなったの。

フロンティアからは身辺警護のボディガードが5人。
ギャラクシーからも、ネットの監視と操作の為に、情報セクションが1チームと、私が総括担当で出動っ。
もう、大変なコストが掛かった、『デート』だったのよ!



<デート大作戦>

にぎやかな街角で、シェリルが嬉しそうな顔で、アルトに話しかける。
濃い紫色のゼントラーディー風ウィッグが、彼女のストロベリーブロンドを隠している。
「うふふっ~ で、これね、ちょっとしたアプリなの。 ネットにあがっている監視カメラとか、インプラントの画像、写真、動画を、まとめて表示してくれるの。
人から見たらどう見えるか?とか、誰が見てるか?とかが、一瞬で分るって仕組(わけ)。」

シェリルの持つ“けー鯛”。 
そのホログラムの画面に、七つばかりの画像が浮かぶ。
トップには、携帯をのぞき込むカップルの姿が、3D化され回転している。本人達の位置表示だろう。
他は街頭の監視カメラと、更新されたネット上の写真画面か?
一番下の動画画像を指差してシェリルが言った。
「これ。フロンティアにインプラントは無いから、たぶん個人所有の携帯メガネか何かだと思うけど、ちょっと私達を見つめている感じね。 何か言われる前に行きましょ。」

「何かって?」
「私がシェリル・ノームって、気がついたかもって事。」
「ああ、なるほど。」

シェリルが画面を閉じる直前、その画像がアクセス不可に変わっていた。一瞬の出来事だ。



並んで歩き始めた二人は、シェリルが腕を絡ませた事で、恋人同士に見える。
「で、何処行くの?」
「とりあえず映画。 隊長から取引先の招待券とか言うやつを貰ったんだ。」
「あら?何だかついでに誘ってもらったみたいで嬉しいわ~。 オズマからなら、なんでランカちゃんにじゃないの?」

わざとらしくイヤミを装うが、シェリルの笑顔は絶えない。
「ランカ?ああ、そうだな。なんでだろ?でも思い付かなかったな。」
「ふふっ、こっちも聞いて聞いて。 私の方は食事の招待状。グレイスがたまには、ってくれたの。けっこうな高級店のはずよ? アルト、その格好でドレスコード通るかしら?」
「大丈夫だろ?ネクタイもしているし。 それより、だったらグレイス女史と食事に行った方が良くなかったのか?」

シェリルがアルトと腕を組みなおして、遠くの監視カメラの一つにウィンクして見せながら言った。
「大丈夫よ。 彼女は高級食材には飽きているし、今も私のマネジメントをしている方が楽しいのよ。」
「・・・? まあいいけど。」
身を寄せると、アルトが少し困ったような反応を返すのが、シェリルには楽しかった。



「"・・・やだわ、あの子ったら気が付いてるじゃない。"」
グレイスが、ネットに上がるツイートや動画を片っ端からチェックさせ、削除や検索避けを作りながらつぶやく。



「映画って、映画館に行くの?」
「ああ。」
「あら、懐かしい。」
「ギャラクシーにも映画館ってあるのか?」
「あるわよ?」
「みんなインプラントで観ているのかと・・・」
「そんなこと無いわ、おもに子供向けだったりもするけれどもね。 ほら、小さい子供は補助脳とかないでしょ?」
「・・・。」
「それとノスタルジックな意味でも、デートコースとしては定番ね。」
「デートねえ・・・。」
「あら? 今日はデートと違うの? もう2度目?3度目かしら。 そろそろ関係が深まるって期待していいのかしら?」
シェリルがアルトを覗き込む、アルトがその顔を見つめ返すが、彼は無言のままだった。

「・・・照れてるの?」

「いや、その場合の展開を想像してみた。」

「やっ・・・、やあね。言ってみただけよ!」





グレイスの話を静かに聞いていたマリが、聞きなおした。
「楽しそうだけど、シェリルと二人っきりで映画館? なんだかめちゃくちゃゴシップ記事になりそう。」
「"そう、フロンティアの連中ったら、まったくセンスがないのよ。 あのいかつい隊長さんが考えそうなデートだわ。"」
「でも警備要員は出してきた?」
「"そっ、かなり場なれしたSPチームだったわね。"」
「映画って何をみたの?」
「"『ボディガード』って、古いハリウッド映画のリメイクよ。あんまり面白くなかったけど、二人とも熱心に観ていたわ。”」
「あらら、古いオリジナルは見た事あるけど・・・。 また、ドンピシャな映画を(ってか、その隊長さん、もしかして分かってやってる?)。」

「"そっ。 でもせっかくシェリルと二人っきりなのに、映画見ながら手もつながないの。
あの朴念仁。 シェリルには言っておいたのよ。たまには恋愛ごっこでも楽しんでいらっしゃいって。"」
「シェリルからアプローチしたの?」
「"ううん、やっぱりできなかったわね。 終りのほうで少~し、よりそってたかな~ってくらい。"」
「ふうう~ん。 それで・・・、その後はどうなったの?」





映画館を出て、明るい外にでてみると、アルトには気がついた事があった。

「さっそくだが、ボディガード?SPみたいなのがいるな。 三人、いや四人かな?」
「分るの?」
「周囲の人の流れがコントロールされている気がする。」
アルトがシェリルに言う。

街角のホッドドッグスタンドだ。
なんとなく、二人で会うときの定番メニューだったし、今夜はそれなりのディナーの予定なのだ。
二人で、昼は軽食で済ますことに決めた。

「ねっ? まいちゃおうよ。」
ホットドッグをほお張って、イタズラっぽく笑うシェリル。
「ふむ・・・。 まあ、近くに彼らがいた方が安全ではあるけどな。いいぜ、お前がそうしたいなら。」
「走る?」
両手を小脇にして、ランニングポーズを取る。
「おいおい、もう少し頭使いたいな。 プロの連中だぜ?」
「じゃあ~、どうするのよ?」

「ふ~ん」
アルトは思案気な表情で街を見回す。
ホットドッグの包み紙を丸めて、くずかごにほうる。

「おっと、あれは?」
アルトが指し示す方向には、ポップな看板があった。


「スクーター?」
「そう。観光用も兼ねているレンタルだからな。 乗捨ても出来る。あの車格だとヘルメットギアが必要だけど。」
「二人乗りなの?」
「もちろん。」
「いいわ。」




マリは、グレイスのお話の途中に、割り込む。
「ちょっ、あの二人で街中を二人乗り? めちゃくちゃパパラッチされそうだけど? 大丈夫なの?」
「"そうよ! だからもう、ネットに上がるコメントだの、動画だのを片っ端からブロック、ブロック! その上さ、あの子ったら・・・"」




手続きを終えて、半キャップ状のヘルメットを渡された、シェリルが言った。
「ねえ、ヘルメットを被るなら・・・。」
彼女がウィッグを外して、髪を解いた。
やわらかなピンクの髪がこぼれる。

「おお騒ぎになるぞ。」
アルトがため息交じりで言う。
すでに、レンタル店の店員が、突然変身して現われた、シェリル・ノームに、あんぐりと口を開けたままだ。

「大丈夫よ。アルトもいるし、ボディガードもね? あと、ネットの記事はたぶんグレイスが徹底的に押さえてるわ。 ふふっ、私もこの方が気持ちいいもの。ダメ?」

今度こそため息をついてから、アルトが応える。
「いいえ。では・・・プリンセス、参りましょうか?」
先に、スクーターに跨がったアルトが、シェリルに手を差し出す。

「ありがとう。」
シェリルがアルトの後席に納まり、その腰に手を回す。

「ねえ、男性の脇腹、脇肉かしら? 英語で『ラブ・ハンドル』って言うの。知ってた?」
「いいや。」
「ふふっ、ここら辺よね。」
シェリルが抱き着いた腕に力を入れる。
「ははっ、しっかり捕まってろよ。」
アルトが笑い、スクーターは街に出た。



フロンティアの海岸沿いの道路はよく整備され、ゴミ一つ落ちていない。
休日の午後。
それなりの交通量の大通りを、そのスクーターが、右に、左にと車を追い越して進む。

後席の女性が時折、風に負けじと大きな声で話し掛ける。
黒髪の青年がそれに応える。
笑いあった二人を乗せたスクーターがまた加速する。
風になびくピンクのブロンドが、淡い光跡を残した。



乾いた潮風を感じながら、4車線の広い道を走る。
しばらくすると、海岸沿いから見上げるような位置に、古い塔が見える。
緑の森の上に見え隠れする。

「ね! アルト。あの塔みたいなのは何?」
「あっ? ああ、あそこね。行ってみるか?」
「教会?」
「古いスタイルのだけどな。」





まくらを抱えなおして、マリがまた聞いた。
「もっと大騒ぎになりそうだけど・・・?」
「"デマの反対の心理よ。常にネットで情報を共有して確かめ合っている人達っているじゃない? 彼らは、逆にネットの肯定がないと、今度は自分が見たモノが真実だかわからなくなっちゃうの。
『あれ? みんな騒がないの?なら私の見間違え?』ってね。"」




その大きな教会の駐車場にスクーターを停めて、アルトとシェリルが降り立つ。
特に観光名所というわけでもないから、広い駐車スペースには、今は、自分達以外の車はない。
「大きいわ。」
「ああ、でもこの場所自体が、フロンティアの動力ジェネレーターの保守スペースなんだ。
だから、実はこの教会は折りたためる。」
「!こんな石造りなのに?」
シェリルが息を呑んだ。

「そ、二年に一回くらい畳んで開いてってやってるよ。 あっちの壁と、こっちがパタン、パタンって開いて、自動でたためるんだ。 作業用のステージが屋根の上に拡がったりもする。」
「凄い! 面白いわね。」
「それ以外ではもちろん、教会だし、結婚式なんかもできる。今日はないみたいだが、時々出くわす事も在るみたいだぜ。」

スクーターを置いて、二人はその大きな扉に向う。
アルトが言った。
「見学して行こう。」



大きな扉の下に、通用口のような小扉がついている。
二人でそろって、それをくぐる。

「わあ。」
シェリルが小さく声を出す。
聖堂が、やさしくその声を響かせる。

柱のない大きな空間、高い天井、全体を囲む、やはり高い位置に並ぶステンドグラス。
祭壇への長いアプローチ。
礼拝のための列席が並ぶ・・・。

「ほら。」
アルトがシェリルに腕をさし出す。
「なによ?」
「いや、バージンロードだからさ、エスコートしてやろうと思って。」
少し驚いた様な顔をしたシェリルが、すぐにイタズラっぽく返す。
「ふふっ、恋人ごっこね。」
「って、精一杯やってるんだぜ?いいから合わせろよ。」
「はいはい。」

シェリルが腕を絡ませながら言う。
「あら?でもバージンロードをエスコートするのって、新婦のお父さんよ?」
「・・・はいはい。」



静かに、誰もいない教会の祭壇に向かって進む。
見上げれば、ふりかかるかの様なステンドグラスが、明るい外の光を和らげている。
光は、この教会の中では、静に、凛とした冷たささえあわせ持ちながら、二人の周りを舞った。

「きれい・・・。」シェリルがステンドグラスの窓が続く高い天井を見上げる。

祭壇のちょっと手前まで来たところで、
「きゃっ」
シェリルがバランスを崩してつまずく。
アルトが抱き留める。

「ほら、天井を見上げながら歩いたりするから。」
「ご、ごめんなさい。」
アルトの顔が近付いた事が、急に気恥ずかしくてシェリルの声が震えた。

「あっ ああ・・・、」彼も続く言葉が見つからない。

しばらく見つめ合った二人を、ステンドグラスの光がやさしく包む。
色とりどりの光が舞い、二人と世界を切り離してゆく。

「やだ・・・」シェリルがアルトを見つめたまま、胸元に抱えていた両手でそっと彼を押しのけた。
「あっ・・・、ごめん。」ちょっとバツの悪そうな顔をしてアルトが少し離れる。


「(離れちゃう・・・。)」
だから、シェリルはもう一度、彼を乱暴に引き寄せてから・・・、口づけた。

静けさが一瞬ざわめき、そして、もとにもどる。
それでも、しばらく抱き合った二人の時間は、ロマンチックな余韻を残していた。


だから?
「あははっ!やだ、なにマジになってんのよ。」
するりと、アルトの手を離れて、シェリルの体が、彼から逃げる。

シェリルは、その余韻を壊しておきたかった。
二人に許される事じゃない・・・から。


「なっ!シェリル!お前・・・」
アルトが怒鳴りそうになる言葉を押込めて、続ける。
祭壇に自分の声が響きそうだった。

「ほら!行くぞ。」
アルトが再びシェリルに腕を貸して、もときた教会の出口に向う。

アルトは、振り向いた時に、入り口付近の礼拝席に一人。 入る時にはいなかった女性が着座しているのに気がついた。

「あははっ」小さく笑うシェリルを引っ張る様に、アルトは礼拝席の並ぶ通路を外へと向う。
その奥に座る、一人の女性。
ラフなスーツと薄い色のサングラス・・・。髪質はゼントラーディー風だ。
二人に視線を合わせることはない。

「・・・。」
「見た?」
「見た。」
「明らかにボディガードね。」
「ああっ、着いて来てたんだな。あんだけめちゃくちゃな運転だったのに。」
「ねっ!」

「方針転換したみたいだな。俺らが見える位置取りにポジショニングを替えたようだ。
巻かれたら彼らも一大事だから。」
「ふふっ」
外へ出ると、シェリルが甘える様にもう一度、腕を組みなおした。
「来てみてよかったわ。ここで歌いたくなっちゃった。」




再び、スクーターを走らせたアルトが、シェリルに話しかけた。

「なあ、シェリル。食事の予約はキャンセルしよう。せっかくだからさ、今日は俺が何か作るよ。
招待券は、グレイスさんへのお礼にして、二人で行って来るといいさ。
今日はボディガードが効果的に先回りしてくれているから、わりと何でも出来そうだし。」

バックミラーに、黒いセダンが着いてくるのが見える。

「買い物をして、俺のアパートで夕飯にしないか?」
シェリルからの返事は、少しスクーターが進んでからだった。

「うん。」
夕日が二人を染める。





「ふふっ、ハッピーエンドね。 さあ・・・、グレイス? 明日も早いわ。
明日は、フロンティアを救わないといけないの・・・」

しばらくすると、マリの静かな寝息が聞え始める。

"そう、明日は、ギャラクシーと、フロンティアの野望を世に知らしめる。
そのためのカギとなるモノは二つ。
オリジナル・グレイスに残されている彼女自身の記録と、シェリルのフォールド・クオーツ・・・。

グレイスも静かに、その記憶媒体の体を休める事にした。
「”お休み、マリ・・・”」







・・・夕日が二人を染める。

「コホッ・・・」
「大丈夫か?」
シェリルが小さく咳をしたから、アルトが聞く。

「ううん、大丈夫よ。買い物って何処に行くの?」
「アパートの近くに商店街がある。個人商店が集まったマーケットだ。」
「へええ、楽しそう!」
そう言ってから、喉の奥に、小さく、苦い血の味がにじんでいるのに気がつく。
シェリルはそれを飲み込むと、アルトに抱き着いた腕に、力を込めた。

「早くいこ!」




つづく!






う~、いワケは明日!
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  1. 2013/07/29(月) 21:21:02|
  2. 作品(マクロス小説)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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Author:kikikix
アルトとシェリルでSF風ショートショートがメインです。
ちょこっとフイギュアとかに逃げる時があります。
SSは「~年表」が作品リストになってます。
フィギュアは?まあこういうのもフイギュアって言ってOK?

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