なんぞラブホ?いや違います。ネーミングセンすなし・・・。
さて、急ぎうpしちゃいます。この週末いないので。
まあプロローグだからさ!お話ないの・・・すんません。続き書けるかなあ・・・。
ではね!また日曜夜とカニ。
「ホテル オリンピア」にて
シェリルにしてみるとこのエレベーターは何だか懐かしい。
オリンピアに移った当初、三か月ほど住んでいたホテルなのだ。
フロンティアからオリンピアへの、事務所移転、拠点移動は、実はかなりのパワーが必要だった。
大筋の合意を取り付けてからも、細かい違約金、契約の変更、あるいは更新、スポンサーの調整、ファン対応と説明。
当時、ランカが応援してくれた事は、いまでも感謝している。
ともすれば、諦めてしまいそうになるシェリルを励まし、協力してくれた。
そして、懸念の残る幾つかの契約は、彼女が自ら調整し、引き継いでくれた。
シェリル、ランカと、ビッグネームでの契約継続に異論は少なかったが、それでもイメージ相違で契約破棄となったクライアントが2社だけあったかな。
「もう離れちゃダメ! いつまでも一緒に居られる様に最大限の努力をしなくちゃ!」ランカの叱責も懐かしい。
フロア専用の直通エレベーターが開くと、笑顔のランカが待構えていた。
「あっ!シェリルさん!」
「こんなとこで待ってなくてもいいのに~。」
走り寄ったランカにシェリルが応える。
仕事でオリンピアにやって来たランカのホテルに、シェリルが訪れたのだ。
オリンピア船団内でも、最上級クラスのひとつである「ホテル オリンピア」は、長期滞在の重要人物や、芸能人の滞在が可能なホテルだった。
特にこのフロアは、居室専用エレベーターでのみのアクセスが保障されたスイートだ。
ランカが、部屋の備え付けカウンターで紅茶を用意してからリビングに運ぶ。
白磁に花柄のティーカップセットは、繊細な作りと普遍的なデザインではあったが、部屋の主人とマッチするかわいらしい存在だった。
「ええっ! アルトくんのプロポーズ、あったんですか?」
近況のたわいも無い会話から、突然もれてきたシェリルの告白に、ランカは危うくカップの紅茶をこぼしそうになる。
「ええ、『結婚しよう。』って。 言ってはくれたけど、もう1か月も前なの。 で・・・、なんやかやお互い忙しいし。 軍とか事故とか、あげくに入院とか、トラブルが続くし。 『で、どうするのって?』って言うのも聞きづらいじゃない?」
シェリルは渡されたティーカップとソーサーを持ち上げて、しげしげと観察しながら応えた。
「どうしたんですか?」
不審に思いながらランカが聞く。
シェリルが笑いながら応える。
「ごめんなさい。 前にここに滞在したときに、私このカップ割っちゃって。もちろんホテルの人には謝ったんだけど、アルトが面白がってご飯粒でくっつけたの。まったく同じカップだから、つい割れてないか?なんて思っちゃって。」
「もう! そんな事より、アルトくんのプロポーズです!」
ランカが軽くシェリルをにらむ。
「まあアルトくんも『どうしようか?』って感じ何でしょうかねえ。 うう~ん、とりあえず、記者会見開くとか? あっ、いっそ赤ちゃんつくっちゃうとか?」
今度はシェリルが紅茶をこぼしそうになる。
「なっ、そんな事できるわけないじゃない!」
「でも物事が動き始めます。」ランカはきっぱりと言い切る。
「普通は、何で結婚とかするの?」
「好き合っているから?」
「そんな前提論じゃなくてよ。」
「ううん~、じゃあ・・・世の中に認めてもらう?税制の優遇?自分達の区切りとか?家族から独立? んん~、シェリルさん達にはどれも必要ないか・・・。 お姉ちゃん(キャッシー)にどうしてだか聞いて見ましょうか?」
「あんまり参考にならなさそう・・・。」
「そうですねえ。 そう思います。 あの人たちも特殊だから・・・。」
ランカが、カップから目を離して言う。
「とりあえずドレスでも見に行きますか?」
「お仕事で何回も着てるわ。」
「ああ、それがいけないのかも・・・。」
「そう言うもの?」
「そう言うものです。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから1週間後。
シェリルはオリンピア宙港のファーストクラスラウンジにいた。
「で、とりあえず旅行に行こうと?」
出国手続きを済ませ、チケットとパスポート二人分をまとめて持ったアルトが言う。 ラウンジのソファでシェリルと二人で並んで座る。
ラウンジから見える風景は、主星ガイノスとその近傍惑星達だ。
ガイノス4は今は影に入り見えない。
交易都市であるオリンピア船団を行き交う貨物船や、星系外からの旅客機の標識灯が幾つか瞬く。
アルトとシェリルは、オリンピアから地球への旅客直行便の出発を待っていた。
「結局その後、ランカちゃんと、ホテルのウエディングフロアを見学に行ったの。 そしたらスタッフが気を利かして、ほとんど借切ってくれて。」
「そりゃあさぞかし、かしましい一行だったんだろうな・・・。」
シェリルはかまわずに会話を進める。
「ウエディングドレスに、カクテルドレス、和装も見たのよ。結婚式プラン、披露宴なんかも紹介してもらったんだけど、スポンサーとかクライアントを考えると、調整することが多すぎて。 で、出来る事からやれば良いじゃない?って話しになって。 いろいろな調整が少なくてすむのが旅行じゃないかって?」
「で、7週間のバカンス?」
「良いじゃない。 長いお休みなんて、しばらく取って無いし、ツアーも終わっているし。
アルトだって教導隊のお仕事一区切りついたんでしょ?」
「お加減様で、7週間のVIP身辺警護の仕事が舞込んだけどな。」
「あら、妻だもの。 夫のスケジュールくらい管理出来るわ。」
シェリルがアルトに向き直り、笑いかける。
シェリルはこの旅行に合わせて少し髪をショートにしている。
「ちゃんと7週で元に戻るぐらい」と言っていた。
少し短い髪の彼女は、かろやかで、そしていつもより爽やかで。
アルトはしばしそんな彼女を見つめた。
「すまん。 そんなに待たせるつもりは無かったけど、きっかけが無かったのも本当だ。感謝している。
いつも背中を押して貰ってるしな。 お土産代わりに向こうで指輪でも探そう。」
ちょっと意外そうな顔をしたシェリルだが、笑いながら応えた。
「ふふふ、小さくて良いけど、石が付いてるやつにしてね。」
「ああ。」
アルトの笑みも優しい。
宙港のアナウンスが、フライトが近い事を告げた。
二人は出発ゲートへ向かう。 二人分のチケットを確認した客室乗務員が、声を掛けた。
「新婚旅行ですか? よい旅を。」
「ええ!」
満面の笑みでシェリルが答えた。
FIN
幸せ工程表たどってます。
この後、パリ篇、エジプト篇。
空飛ぶ絨毯でピカピカのピラミッドの上空を飛ぶとかやりたいです。
書けよ~自分。
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- 2012/03/02(金) 20:28:39|
- 作品(マクロス小説)
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