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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

決戦前夜17 <夢と。>

決戦前夜シリーズ 目次

その17!
アルシェリデートの直前までです。
よろしければ!!  
その夜。
ホテルに戻ったマリに電話があった。
シャワーの後だ、音声対応だけで十分だろう。

「もしもし?」
「(こんばんは、SMSのキャサリン・グラスです。 ドキュメントの返信ありがとう。 
クライアントに報告よ。 明日、アルカトラスに向います。
ランカさんの公演に、弊社スタッフが帯同するの。 あなたも行きたい?)」

「早乙女アルトは行くの?」
「(もちろん。)」
「じゃあ、私はいいわ。 必要なスキルがないし。 彼に、自分の仕事を真っ当する様に言って。」
「(了解。 まかせて貰えて嬉しいわ。)」
それだけ言うと、その電話はぷつりと切られた。

いよいよ明日・・・。




<夢と>


さっきから、女が泣いている。 さめざめと、押し殺したような声で。
シクシクと。

その感情の高まりが伝わると、膨らんだ何かを押し戻す様に、また遠くなる。
だが、女は泣きやまない。
泣き続ける。
ごめんなさい、ごめんなさい・・・って、言い続けている。


「グレイス? グレイスなの?」
浅い寝むりから身を起こして、マリが、ぼんやりと声を掛けると、再びその声は遠ざかって行く。

「・・・グレイス? いらっしゃい。一緒に寝てあげるから。
ゴメンね。こんなに近くにいるのに、触れてもあげられないけど・・・。」



一緒にいるのか?
いや、少なくとも離れてはいない。
最近では、グレイスの気配とか、彼女が感じていることが、なんとなくわかる。
ネット通信以外は、グレイスはマリの視覚、嗅覚などを通して、情報を得ている。
感じることが一緒なのだ。
だんだんと一心同体になっているのかな? 文字通りに・・・。

マリはじっと待つ。
それでも、その泣声が納まるまで、まだしばらく時間が掛かった。


「シェリルの話を聞かせてよ。」
ベッドで膝を抱えたマリが言うと、 ・・・ぽつりぽつりと、小さな女の子が話し始める様に、グレイスのお話が始まった。

「"・・・シェリルが、まだ、ちいちゃかった頃なの・・・。 早乙女アルトに始めて会ったのは・・・。 "」





早乙女アルトに、はじめて会ったのは彼のギャラクシー公演の時だった。
当時の彼は歌舞伎界のプリンスだった・・・の。

まだ小さいシェリルを連れて、観に行ったの。
あの頃は、シェリルと、あらゆる舞台を見てまわってて、そのうちの一つだった。

でも、彼女にとっては、特別な舞台だったみたい。 とっても、感激しちゃってね。
あの子にせがまれて、ムリを言って、公演後の楽屋にも通して貰った。

シェリルは、「本当に男の子なのか確かめる」なんて言ってた。
ほら、歌舞伎って男性が、女性も演じるでしょ。

でね? ふふっ。 
彼は、実際に会っても、ビックリしちゃうくらいの美少女だった。
あのころは、彼の方がシェリルより何倍もキラキラしていたんだわ。

でも・・・、シェリルが伝えたかった事は、きれいとか、そんなことじゃなくて。
自分を震わせた彼に、誓った・・・って言うのかな。
『いつか、銀河も、早乙女アルトも、私が震わせて見せる!』って、決意だったの。


・・・でも、シェリルも14歳になった頃から忙しくなっちゃって。
それから、しばらくは、彼のことは忘れていた・・・。 
っていうか、少なくとも私との話題にする事はなかったの。
早乙女有人の名声もだんだん聞かなくなっていたし。



でも、
フロンティアに来て、初めて彼を見たとき。 再会した時のシェリルの驚きったら、もうなかった。


「どこで?」


最初の、星道館ライブのゲネ(通し稽古)だった。
ちょっとしたアクシデントがあってさ。 スタントで入っていた学生の失敗をかばって、その仲間の一人がシェリルにくってかかってたわ。 それが、彼だった。
いつものシェリルらしくない言い争いをしているな・・・って思って、確かめに行ったら。 
相手が、早乙女アルトよ? もう、びっくりしちゃって・・・。

私? 私も、本当に知らなかったのよ。
それこそ『(こんな所に、あの早乙女有人がいる!?)』なんて・・・。
歌舞伎役者が、飛行スタントのアルバイトよ? しかも専門課程のパイロット養成コースから派遣されている。
まさに、予想の数段上から飛来したわ。


でね? 平静を装ってたシェリルだけど、楽屋にもどってからのはじけっぷりったらなかった。
「あれ!早乙女有人でしょ!?」って。
もう満面の笑み。

お星様に感謝する女の子みたいに、クルクル回ってたわ。
めったに見せないくらいの、笑顔だったけど・・・、私の方も動転しちゃってて、「名前は一緒ね。」なんて、冷たい返事しかできなかった。


でも、そのすぐ後に、最初のバジュラ襲撃があって。
シェリルのスパイ疑惑なんかも、その辺から表面化していったかしら・・・。



・・・・。
でも、ふふっ、なんでだかね?
最初の接触戦の後。 
そのあと、暫くしてだけど、フロンティア政府公認、ギャラクシーの秘密組織支援で、二人の『デート大作戦』みたいな事もあったの。



「なにそれ・・・。」



当時は、ギャラクシーの組織が、フロンティア政府とSMSの情報を欲しがっていたの。
一方、フロンティアは、ギャラクシーの動向を、シェリルを押さえることで把握できるって考えていた。
この双方の思惑が一致したのね。

結局、どちらの陣営も、シェリルと早乙女アルトを恋仲にして、自陣営に取込もうとしたんだわ。
でも、こう言うとなんだけど、どっちの側も、もっと重要案件がいくつもあって。

フロンティアもギャラクシーも、結局、現場任せになっちゃったの。
中途半端なデートの斡旋? そんな感じになった、って言うのがホントのところ・・・。


「なんだか楽しそ・・・。」


そっ。 私もいっそ彼女の気晴らしになるなら、って考えたの。
出来る限りのオンラインでの監視体制と、フロンティアのベテランボディガードを5人も付けて送り出したのよ?
まあ、ボディガードは私の指揮下ではなかったけど・・・。
でも、あの子ったら、まんまと・・・、


「!? まんまと・・・なに?」






続く!







これ、元となる話はここから来てます。

・グレイスの思い出で始まる護衛期間の話
 ハニートラップ(1)    グレイス独白
 ハニートラップ(2)    再会
 ハニートラップ(3)    フロンティアの思惑  
 ハニートラップ(4)    ギャラクシーの場合
 はにいとらっぷ?(5)    苦悩と妥当な結論
 はにいとらっぷ?(6)    明日への希望



で、次回いよいよ、このグレイス・デート回想と、シェリルの切ない幸せ描写・・・えええ?書けてるか自分?


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  1. 2013/07/24(水) 22:13:17|
  2. 作品(マクロス小説)
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