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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

決戦前夜14 シェリルの思い出

その14? なんだか長くなるなあ・・・、決戦までやるとなると先は長いぞ?
ええと、よろしければ。拍手とかコメントもらえると大マゼラン星雲くらいまで行っちゃいます。



そのイヤリングは、それでもまだ、時々は小さく輝いていた。


<彼女の思い出>



「あれ、早乙女さん? まだ最後の問診が残ってますよ? まっ・・・、」
病室でさっさと荷物をまとめ(基本的に何もないのだが)、今にも出て行こうとする患者に、看護士が驚く。

「もう大丈夫だ。  隊に復帰しなきゃいけないから・・・。 必要な連絡はSMSに頼む。」短くそう言い捨てると、怒った様に? 青年はさっさとフロアから出て行ってしまう。
その背中を、看護士は唖然として見送る。

今はみな、命懸けで闘っている。
彼もその一人だし、あのシェリルの逮捕騒動からこのかた、彼がふさぎ込んでいるのはあまりにも分りやすくて・・・、誰も触れられない?


噂では、シェリルが、この病院に来た時、その訪問票の続柄欄に、「恋人」って書いたとか。
一介のパイロットというには、その容姿が派手に過ぎる青年だ。
シェリルの彼氏、あるいはその一人なのだろう。
シェリルには、恋多き女性のイメージはないけれど。

「(・・・ったく。 パイロットなら、びゅーんって、助けに飛んでっちゃえばいいのに!)」
心の中で、言葉にしてみてから、

「まあ・・・、出来そうにもないか。」
看護士はアルトの去った、エレベーターを見つめ、ため息をついた。











だから!ほんとうに誰にも会いたくないんだ! 放っておいてくれ・・・。


それが、病院のロビーで、ランカを見つけたアルトの、最初の思いだった。
人込みの端と端だ。 会わずにすますのはたやすい。

ごめん、ランカ・・・、アルトはそうつぶやくと、その場を去る。


そして・・・、アルトが視線をそらした、まさにその一瞬。
午前の見舞客が、右に左に行き交うロビーの隅で。
ふっと振り向いたランカは、彼が背中を向けて、ロビーから出て行くのを見つける。

あれ?今こっちを見てた?
だが、彼がもう一度振り返ることはなく、したがって、もう目が合う事も無かった。
いや、合わせようとしてくれないのか?

「あっ・・・、」ランカは、アルトに声を掛けようとする。

だが、いまだに続く戦闘と、市街戦による負傷者の増加で、病院の混雑ぶりは普通ではない。
ロビーを出て行く彼に、大きな声をかけるのはためらわれた。

ランカは、人込みをかき分けて彼を追おうとするが、車椅子の負傷者を押しのけたり出来る子ではなかった。



そうして、ランカがやっと、病院のアプローチにたどり着く。
そのタイミングで、アルトの乗ったタクシーが去って行った。
もちろん彼が一瞬でも周囲を振り返る事は無い・・・。


「アルトくん・・・」
走りさるタクシーを見送るランカの声は、かすかだった。









「あら、ランカちゃんじゃない。」

「!?」


いつの間にか、ランカのいるアプローチに寄った車がある。 
サイドウィンドウが開き、マリが顔を出す。
「よかったら、乗る?」

「・・・ええ。」









・・・・・・・・・・・・・・・・




「前の車を追うけど、いいわね?」
「・・・。」

ランカは小さくうなずく。
「マリー、この車は・・・」
質問を返すランカのトーンは低調だ。
どちらかと言うと、自然に黙ってしまう感じ?

「うん? ああっ、そっ。 ポーシェの最新型よ。いいでしょ。」
「ポルシェ?」

マリは明るく返す。
「そう、ポルシェ・・・。拾ったの。」
「そう・・・。」
MHDユニットの、静かだが力強い駆動音が続く。


「"ポーシェでも間違ってないわ。"」
グレイスがぽつり。
「(はいはい、・・・デカルチャ~。)」マリが、ごくごく小さく呟いた。


アルトの乗ったタクシーは、港北側のヨコハマ地区に向う。
「どこに行くのかしら?」
マリの問掛けにも、ランカは黙ったままだった。

海に面した広場のロータリーに入ったところで、タクシーが止まる。
アルトが物憂げに降り立ち、あらためて周囲を見回した。

そうか・・・、ここはシェリルのリベンジライブの会場だ。

長髪をポニーテールに結った彼は、それでもしっかりとした足取りで、ライブ会場だったスタンドの奥に歩む。

タクシーが去ってから、ランカが言った。
「待っていて貰えますか?」
シュッと小さい駆動音を立てて、ポーシェのドアパネルを跳ねあげると、ランカは静かに石畳に降り立った。

車を離れるランカ。


しばらくしてから、ゆっくりとその後を追うマリ。
周囲は、夕暮れでもないのに、暗い雲が広がってくる。


海側を向いた階段状の観客席は、一部が半壊したままで、戦闘の激しさを残す。
シェリルがステージにした、浮遊式の化学プラントが、中途半端な高さで沖に浮いている。

幽霊船みたい・・・。

・・・いた。

下段の客席の一番海側。そのボードウォークに、彼が一人で立っている。
暗い人工の海を見つめて。
ここしばらくの曇天は、十分な照力を確保できないフロンティアのエネルギー事情によるもの。
だが、グレイスの言うとおりならば、次なる決戦のために、備蓄をしているだけなのかもしれない。

そして、マリの少し先のテラスには、先に、彼を見つけたであろうランカが立っている。

アルトは、手のひらの何かを握り締め、見つめる。

何だろう、シェリルとの思い出?
捨てようとして・・・、結局、捨てられなかったのか?

しばらく情景は止まったままだった。



しばらくして、すっと、ランカが振り返った。

マリと目があう。
ランカはそのままテラスから離れる。

マリをにらみ付ける様に、近付いてくる。


「マリー・・・。 あたし、今日で彼を、『ふる』事に決めた。
ちっともカッコいいとこなんかないんだもの。 こちらから願い下げにしようと思うの。」

空と海が、精一杯、この少女に暗い影を落とそうとしている。
ランカの瞳も、風景を映して、悲しげだった。


「行きましょ。」
ランカが歩み去る。




それでも、ランカのその光が、これに負ける事は無かった。

アルトを残し、車が置いてあるロータリーに戻ってから、ランカが言う。
遠く、暗い星につながる海を見つめながら。


「シェリルさんにも会って来ます。あの人にも確かめたいの。

そして、出来れば助けてあげたい。 私は、シェリルさんを諦める事なんてできない・・・。」



ランカが続ける。
昨夜のうちに、アルカトラス視察の申し入れを、事務所を通じて、すでにお願いしてある事、慰問公演の企画も、事務所から立ち上げさせている事を告げる。

そして、ランカは、「ここからなら事務所は近いから。」っと、地下鉄の駅に向かって、あっという間に去って行った。

その地下鉄駅の手前で、ランカが振り向いた。

「マリー!! 私のお兄ちゃんに、アルトくんに『カツ』を入れてくれるように、頼んでおく!! お兄ちゃんは、アイツの上司なんだよ!」

大きくふられた手は、いつもの彼女のサインになる。

 『きらっ!』
ランカの寄こしたハンドサインからは、まさにそんな効果音が聞こえた気がする・・・。
そして、彼女は地下鉄の入り口に消えた。



一人(二人)、残されたマリはあっけにとられて・・・。

「・・・だって。」

グレイスの声も感嘆まじりだった。
「"強い子だわ・・・。 ファンになっちゃいそう。"」
「ほんと・・・。」



しばらくしてから・・・、車のフェンダーに寄り掛かったマリの前を、足取りの重いアルトが、やはり地下鉄の入口に向いゆっくりと去って行った。


「うえ~。あれがシェリルの彼氏?」
「"気に入らない?"」
「なんか女の子みたい。」
「"・・・。"」

二人は、アルトが地下鉄へ消えて行くのも見送る。




「"さて、シェリルの状況確認はランカちゃんに任せるとして、私達は、次は・・・。"」
「次は?」
マリが車に戻る。

「"キャプテン・ワイルダーに面会希望と行きましょうか。"」

「キャプテン(大佐)?」


車に乗込む時、マリは決意を新たにしていた。
フロンティアは私が守る。



「"マリ!ドアを早く閉めて!!"」グレイスが叫ぶ!
空気を、小さく裂く音がする。

「!」

これは、この押し殺されたような駆動音は?
EXギア兵!




続く!!
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  1. 2013/06/26(水) 23:58:21|
  2. 作品(マクロス小説)
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