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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

決戦前夜10 <雨煙>

こそっとうp・・・。この展開は? ううむむ・・・またそのうちブログで言い訳するっす。


ここはどこ?
何処にいるの?
空港? 広くて簡素で、なにもない空港・・・。

ロビーのベンチに座っているのはグレイス? 
写真で知っているグレイスよりも・・・なんだか若いのかな? 私と同い年くらいに見える。
これは夢・・・? 電気仕掛けのグレイスが見る夢・・・。


<雨煙>


「グレイス!」ベンチに座る私に、5歳になったばかりの女の子が後ろから飛び付いてくる。
いつもの愛くるしい笑顔、こんなかわいい娘なら母親も悪くないかも。
けど、だれでも、その子なりの可愛いらしさがあるのだから、そんなことを思っているうちは、母親になんてなれないのかもしれない。

「遅かったじゃないシェリル。おばあちゃんと、お姉ちゃんはとっくに着いてたわよ?」
意地悪く私がそう言うと、彼女は立派に反論して見せる。
「時間通りだって、パパは言ってたわ。 ねえ、それよりブレラとランカちゃんも送りに来てくれてる?」
「もちろん。 あっちよ。」
少し離れたテラスで、母親のランシェと一緒に、航宙機を見つめる兄妹を教えてあげると、少女はパッと走りさる。
ふふっ、一日一緒だっただけなのに、もうすっかり仲良しね。

しばらくすると・・・、搭乗のアナウンスが流れる。
見送りに来ていた私たちに、シェリルの母親が挨拶をする。
「では、みなさん。お世話に成りました。今回の訪問は楽しかったわ。また母をよろしくお願いします。」

ランシェの子供達とまだ遊び足りないのだろう、その母親の足元で、シェリルが不満気なのが見て取れる。

マオ先生がシェリルに言う。
「ああそうだ。このイヤリングをあなたにあげる約束だったわ。 大事にするのよ?」
マオ先生がイヤリングを外し、シェリルに渡す。
するとシェリルが顔を輝かす。
ランカがうらやましそうに?でもうれしそうに、シェリルとイヤリングを見つめる。
ブレラが微笑む。

ああ、この子達は、この時の出会いは覚えていないの・・・。
この出会いからしばらくあとの、あの事件で、何もかも、私自身でさえ消し飛んでしまったから。

でも、シェリルはもしかしたら覚えていたのかもしれない。
あの子は頭のいい子だから・・・。 ふふっ、とってもいい子だから。







・・・・・・。

マリの頬を涙(?)が、伝う。
・・・雨?

ああそうだ。今日は明け方にかけて雨の予報だった。暖かい雨がミストの様にマリ達を濡らす。
いつの間に地上に出たのか?
ブレラがマリを背負い、歩いていた。
寝ちゃったんだ・・・。
少し離れた車道を、時折、車のライトが、短く行き交う。

マリはそのままブレラに身を任せた。


「"起きた? 私も今まで、休ませて貰っていたとこ。"」
グレイスの声がする。
「"ブレラは忠実な乱数選択でここまで移動してるから、追手の追跡は出来てないと思うわ。
 いい?マリ。 もうすぐ、ホテル・オリンピアのVIPエントランスに着くわ。
オリンピアはここでは外資系だし、ホテルは公館も伴っているから、独立性が高いの。
顧客情報を簡単にフロンティア政府に提供したりはしないわ。 だから、まずは・・・ "」
ブレラの背中に揺られながら、グレイスの説明を聞き続けた。

しばらくしてからだが、マリは、彼が、あの特殊なコートを自分に羽織らせてくれている事に気がついた。




「いい?ブレラ?」
通りの向こうはホテル・オリンピアの重厚なエントランスだ。
ブレラの背中から降りたマリは、コートを手に抱える。
「まずは、アルコール摂取状態に見える様に体調を変えて。
あなたと私は恋人同士。
あるいは、あなたがお買い上げになったコールガールが私よ?」

マリが、雨に煙る街角でブレラに語りかける。
霧のようなミストシャワーは、雨滴とはならないが、ビッショリと二人を濡らす。
油煙をながすにはちょうどいいわ。
ブレラの頬の煤を、マリが指でこすり取る。

「ホテルのJr.スウイートは、あなたの生体認証で開くはずよ。
だから部屋にもどってからのお楽しみってわけ。 いい?」

マリは、ブレラのシャツの前ボタンを三つはずす。
「やだ、右脇に怪我してるわ!」
何気なくみつけた傷は案外と深いものだった。
「大した事はない。」

マリは、ブレラの顔を見つめる。
裂けたシャツに出血などはないが、裂傷は皮膚をえぐっている。
普通の人間なら人をおぶって歩ける状態ではない。

表情の変わらないブレラだが、あっという間に真っ赤な顔色に変わる。
「!?」
あっ、顔を赤くしろって私が言ったから? しょうがないわ、大丈夫。傷はここではいったん無視。

「やっ、そんな赤くなっちゃダメよ。 やり過ぎ。もう少し押さえて。」

ブレラは本当に加減が分からないのだろう、赤いだの、青いだのの会話をなんどか繰り返して、やっと一晩飲み続けた様な?ブレラが出来上がる。


ふふっ、飲み疲れて、胸のボタンをはだけて、コートを脇に抱えて、そしてとびっきりの美女を従えて?

「うんっ、いい男に見えるわよ。 私はどう?」
つとめて明るく振舞う。傷の影響はわからないが、この男は少し暗すぎる。

「ああ・・・、見えるよ。水がしたたってる。」
「あはは、うまいことも言えるのね?」

「・・・じゃあ、恋人同士に見える様におまじない。」

雨の街で、むせぶ雨煙の中で、伸上がる姿勢で、キスをして。
マリは、この人は案外に背が高いのだと気がついた。


続く
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  1. 2013/06/05(水) 21:09:08|
  2. 作品(マクロス小説)
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