イベントで某方から「楽しみにしてますー。」と言っていただけたので。
GWは意外と書けた。お付き合い下さい。
この続きは少し先になりそう。
今日はムスメちゃんの誕生日!お食事に外出してきます。義母もピックアップして行かなきゃ。
決戦前夜譚
決戦前夜1 <墜落>決戦前夜2 <睡魔と魔女>決戦前夜3 <魔女とお話>決戦前夜4 <魔法の対価> 決戦前夜5 <魔女と天使>
「"(2週間前・・・。フェアリー9とコードQ1の問題を上部意識に報告したあたり・・・。)"」
<魔女と天使>
「あっ、ランカさん!こちらマリー・アントワープさん。 今日のステージで入ってもらいます。シェリルさんの追加公演スタッフだったんだけど、ほら事件で・・・ねっ? で、ちょうど来て貰えたの。」
大急ぎでレッスンの時間を取って、振り付けのチェックを終えたマリが、ランカのマネージャーにあらためて挨拶をすると、「ランカに紹介します。」と連れだされた。
スタジオの隅のパイプイスで、考え込む様な顔をしていたランカが、ハッとした様子で顔を上げる。
「シェリルさん・・・って、ああっ、すみません。」
ボッっとしてた事を謝って、慌てて立ち上がったランカが微笑み、返事をした。
「今日はよろしくお願いします。」
華やかな笑顔のオーラが広がる。
「(ああっ、この子の魅力もホンモノだわ。)」
それは、マリにそう思わせる笑顔だった。
マリがランカ・リーに会うのは、これで二回目だ。
彼女のデビュー当初、『ダイナム合金』のステージでバックを演った事がある。
あの時から、まだ2ヶ月も経たない。
だが、その笑顔は、すでにトップアイドルらしい華やかさをまとい始めている。
「(ただ?)」 そうか、今はシェリルの事を考えていたのか?
不安げで悩ましげな表情が見え隠れする。
「シェリルさんの事、心配ですか? ランカさん。」
マリがランカに話しかける。
「えっ?ええ。 とっても・・・。 って、マリーさんですね? お会いするのは二回目ね。今日はお願いします。 あっ、『ランカ』で良いです、そう呼んでください。」
「ええ、頑張るわ。 えっと・・・ランカちゃん。 これでいい?」
「ええ!」
応えたランカの笑顔はいつも通りの明るいものだった。
「私もマリーでいいわ。 (ふふっ、バックダンサーの名前まで覚えなくてもいいのに。)」
マリが笑顔を返した時、スタッフから声が掛かる、「さあ、通しで一回リハ入れまーす!」
さあ、ほぼぶっつけでの本番。だが、マリのスキルと経験があれば対応できる。
短時間でみっちりインスペクション・レッスンも受けているし。
・・・・・・・・・・・・
「お疲れ様~」
「お疲れ様でした~。」
収録が終わる。「(今日飛び込みで踊ったのよ?そうでなくても上出来でしょ!)」
解散の確認をして、更衣室に戻ろうとするマリに、慌てた様子のグレイスが言った。
「"マリ? ランカ・リーに病院で何があったか聞いて!"」
「え?」
「"仕事の貸しよ。ちょっと時間ちょうだい。シェリルが逮捕された時、ランカ・リーともう一人、早乙女アルトが、あの病院で一緒だったのよ。"」
その時、マリの直ぐ脇を、そのランカ・リーがマネージャーと共に通り抜ける。
マリはとっさに声を掛けた。
「あっ、ランカちゃん、待って。」
(「"病院で何があったか知りたいの。"」)
「病院で何があったか知りたいの。」
ランカが振り向く。
(「"早乙女アルトはどうしているか聞いて!"」)
「早乙女アルトさんは、今どうしてるの?」
「え?」
ランカの歩みが完全に止まった。
ランカの隣で、あのグラマラスな女性マネージャーが、ランカの手を引く「ランカさん?」
「・・・マリーは、アルトくんの事知っているの? アルトくんはまだ入院してて。」
「早乙女さんは名前だけね。シェリル・ノームのマネージャーだったグレイス・オコナーからよく聞いてたの。」
「グレイスさん?」
「ええ、お友達だったから。」
「("・・・まっ、本人だけど")」
ランカと、マリの間に立ち、そわそわと会話を聞いていたマネージャーが、二人の会話を区切った。
「ごめんなさい、マリーさん。ランカはその件ではお話しすることが限られているの。ちょっと疲れもあるし。 ランカさん、ごめんなさい、次もあるし、早めにスケジュールを終えて休んだ方がいいわ。」
「えっと、まって・・・。」ランカが慌てている、スケジュールは彼女の頭にも入っているのだろう。
「ランカちゃん? 携帯?おおサンショウお、よね?」マリが自分のバッグからガンメタリックカラーのソレを出す。男性向けのレアカラーモデルだ。
「え?ええ。」ランカもオレンジ色の自分の携帯を出す。
「じゃっ、これ。」
マリがホログラムデータを放り投げた。マリの手元を離れたホログラムデータはキラキラとした光跡を残して、ランカのおおサンショウおに吸い込まれる。
おおサンショウおが、「きゅっ」と受信音を返す。
「時間のある時に電話してください。」
マリが微笑む。
「えっ、ええ。すみません、それじゃあまた。」
ランカがぺこりと頭を下げる。マネージャーが軽く会釈すると、二人は急ぎ足で去っていった。
「"ふうんんん~、まあこの状況じゃここまでね。しょうがないわ。"」
グレイスが呟いた。
「あら? お言葉ね。かなりうまく立ち回ったつもりだけど。」
「"情報は何も得られなかったわ。"」
「ふんっ! 電話がかかってくるといいんだけど!!」
マリのその声は、ちょっと大きかったから、残っていたスタッフの何人かが振り返った。
そして・・・、その夜に。 本当に電話はかかってきたのだ。
「"・・・マリーさん? ランカ・リーです・・・。 わたし・・・、どうしたらいいのかわからなくて・・・。 アルトくんにも会えないし・・・。"」
「落ち着いて、ランカさ・・ちゃん。 今わたしもテレビを見てたとこ。」
テレビ画面では、緊急速報の文字が踊っていた。
『シェリル・ノーム 裁判なしでの死刑確定!』
またまた続く!!
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- 2013/05/06(月) 09:29:25|
- 作品(マクロス小説)
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