お見舞い補完第2弾です。
映画のこのシーンすごく好きです。シェリルの慌てぶりがかわいい?あと怒ってる感じが。
微妙に現在(2065年あたり)にかぶるのは当店の傾向としてご許容ください。
おまけでまたまた予告編みたいのも付いてます。
追:
すうぱあぱっくの素材探しているんだけど、なんだかいいもの見つけた気がする。
そのうちアップできるかも(ららん!)
フロンティア市内 新統合軍病院にて(航宙中)
それはまだ、フロンティアがかろうじて、いつもと同じ生活を続けられていた頃。
ランカのファースト・コンサートが大成功で終わった頃。
「(何か大きな作戦があったのかしら。)」
エントランスから続く大きな吹き抜けの病院ロビーで、受付ボックスのデスクに座り、彼女は端末の入院患者様リストをスクロールさせる。
昨夜から運ばれてくる、軍関係の負傷者の多さは普通ではない。
ここは総合病院で、市内にある軍病院の一つでもあるのだ。 そして運び込まれるのは、ナノマシーンと投薬、あるいはiPS細胞と組織培養で治療の足りる、比較的(?)軽症な患者が主だ。
「(という事は、今頃、基地内病院はパニックなんだわ。)」
多くの死と、負傷者の苦しみを思い、病院受付を勤めるケイ・ぺは、身震いした。
ケイは、病院事務の仕事を、最近の軍の臨時募集で始めた。
バジュラの襲来以来、フロンティアの生活も少しずつ変わり始めている。
噂では、バジュラとの大きな戦闘があったらしい。
だが、この病院への見舞い客の来訪は、民間のSMS関係者が数名訪れただけだ。
軍の作戦の場合だと、負傷者の公表が遅れるケースがままある。 軍人のお見舞が来るのはこれからだろう。
「(準備・・・と言っても、たいした事は出来ないな。 なにかあるかな?)」
そんな風に彼女が思っていたその時。
すさまじい勢いで、戦(いくさ)の神か、何かが?と言う雰囲気で、女神が、まさに乗り込んで来た。
「どいて!」
入口で男性を押しのける様に叫んだ声が、鋭い。
正面の案内ボックスに座るケイに向い、大股で歩みよる。
ケイは自分の目が信じられない。
「(シェリル! シェリル・ノーム?)」
「早乙女アルトはどこ!」
怒気をはらんだ声とはうらはらに、彼女の目はすでに泣きそうに見えた。
その目に睨まれ、ケイはうろたえる。
「え、ええっと、今朝方入院された方ですね。702号室です。」
ケイの答えに、シェリルの視線が、病院ロビー吹き抜けの上階を探る。
まるで、そうやって探しあてる事が出来るかのようだ。
「あ、あの。 すみません、こちらに御記入頂けますか・・・ 」
ケイは、見舞客用の訪問票とペンを、クリップボードで差し出した。
自分の言葉にケイ自身もびっくりする。 つい習慣で言ってしまった。
「(あっ、余計な事?でも決まりだし・・・)」
シェリルも、苛立ちを隠せない。
「あなた! 私を誰だと・・・。 」言いよどんだ彼女は、それでもケイの様子から考え直した様だ。
しかたがないといった面持ちで、その訪問票に書きつける。
面会者の名前、訪問者の名前、面会者との続柄。
「はい!」
用紙を差し出したシェリルの目が問詰める、「(彼はどこ?)」
ロビーの奥を指し示しながらケイが言う、「中央のエレベーターで、7階へどうぞ。」
走り去る彼女の耳にその言葉が届いたのかどうか、ケイには自信が無かった。
しばし呆然とした後に、ケイは改めて、シェリルの訪問票を確認した。
面会者「早乙女アルト」、 訪問者「シェリル・ノーム」、 筆記体で綴られている。
面会者との続柄、「amant」 フランス語?
「(恋人? ああ、恋人なんだ・・・。)」
ケイはしばらく、そのボードを手に、シェリルの向かった上階を見つめた。
それから30分も過ぎずに、恐る恐るたずねて来た女性がランカ・リーだった事には、もう驚かずにすんだ。
やはり、早乙女アルトの病室を確認する。
訪問票に、ランカは少し悩んだ素振りを見せてから、面会者との続柄欄に「親しい友人」と書き込んだ。
丁寧に頭を下げると彼女も走り去った。
「(早乙女アルトって・・・、何者かしら?)」
そして、その10分後に、その日の最後の来客が来た。
特徴的な髪形の大統領補佐官。後になってからケイは、この男がレオン・三島という名であったことを知った。
補佐官は薄ら笑いを浮かべる。
「早乙女アルトの病室は702号だね? ああ、答えは必要ない。」
バラバラと軍警察の集団が院内に進む。
三島も先へ進もうとする。
「すみません面会票を、書いて頂けますか。」ケイはそれでも毅然として言い放った。
シェリルとランカにも書いて貰ったのだ。
どうして、この偉そうな小役人が書かない理由がある?
だが・・・、
「バカか? 君は。」その役人は言い捨てると、院内に進んだ。
「行くぞ!」
配下の特殊部隊らしき集団を引き連れて。
「(誰がバカよ! 言うと思ったわ!)」
ケイは、手にしていたシェリルとランカの二枚の訪問票を、そっと自らの院内服のポケットにしまった。
いまいましい補佐官に渡してはいけない気がしたのだ。
その日、その二枚の訪問票は、彼女のポケットにそのまま残り、混乱した病院の現場を後にした。
そして結局は、戦役の混乱で紛失してしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「だから、私は知ってたの!この二人の事。」
「ペさん、うっそだあ~。」院内の休憩室で同僚が口々に叫ぶ。
「だから、本当にほんとだってば~。 信じてよ~。」
ケイが持つ電子ペーパーの雑誌からは、もうあの事件から6年の歳月が過ぎた事がわかる。
写真付きの記事の文字が躍る。
「はかなく、ロマンチックに。2066年春夏パリ・オートクチュール(高級注文服)コレクション開催。繊細な花刺繍(ししゅう)などの伝統技を駆使した優しく匂い立つような女らしさを強調する表現が主流・・・、 ゲストに恋人を伴ったシェリル・ノームを客席に迎え・・・。」
FIN
その頃。
2065年初冬の地球(ミクロネシアにて)
「シェリルが地球にいる。例の彼氏とだ!」
「増えたわね。」
「ああ。 もしもし?フロントを頼む。何だかうるさくてゆっくり出来ない。少し人払いを。」
新商品、ホントに透けない白の水着。 (←!!!!)
「ビーチに出ましょ!」
おい!
スポンサーサイト
- 2012/02/21(火) 20:05:52|
- 作品(マクロス小説)
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0