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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

エジプト旅行篇 中篇その2

やっぱ中篇にします。
あと、すみません。甘くする・・・とか言っても、所詮このレベルよ・・・。
ラノベじゃなくて、ジュブナイルだからね、もう割り切って行きます。

年内に、中篇仕上げて、新年くらいには問題のレース篇に突入しますが、オイオイ!まだレースまとまってないよ!!
敵役にもドラマが在ったほうがいいんでない?なんて考えて、盛大に遠回り中・・・。

えっと。では、よろしければ。
読んでね~。

中篇その2


「ゼントラーディの可変金属構造と重力制御技術を応用している。
このあたりだと、アラビアンナイトのイメージもあるからね。もともとは観光客向けの遊覧飛行用だよ。」
昨日の少年、ルーク・ビラエルが説明する。

「なるほど。 数十センチだけ浮かび上がる商品は深夜通販で見た事がある。 だが、『飛ぶ』っていうのは凄いな。」
「基本的に推力になるエンジンみたいな物は付いて無いんだ。 重力制御を傾ける事で、進行方向に、水平に『落ちて』前に進む。
反転やブレーキもその応用だけど、生体吸着式のこの部分。」
少年が中央、やや前寄りの、絨毯の柄をさし示しながら続ける。
「ここに手の平を置いて操縦する事で、VF(可変戦闘機)とかと同じ、IP-I/F(知能的受動インターフェース)制御が機能する。 視線移動で思った方向へ飛ぶってわけさ。」
「なるほど、面白そうだ。」
「そして早く飛ばすコツは、こいつが大気圏内を飛んでいるって事だ。」
「空気抵抗?」
少年はアルトの回答に満足げにうなずいた。
「そうさ!風に乗るんだ。 素早いターンや、急停止には絨毯を翼として使う。うまく制御すればフラップにもラダーにもなるってわけさ。」


一通りフライングカーペットに関する説明が終わると、ルークは兄妹の事を話し始める。

「俺と兄貴は卒業したら軍に行くつもりだ。
バカ兄貴は、あのチンピラ達にケンカを売られて怪我しちまって。 入院してるけど、来年の秋からは新統合軍に進む。 俺も再来年のパイロット公募試験を受けるつもりさ。

いや、兄貴の怪我はただの骨折なんだよ。大丈夫なんだけど、ナノ分子治療とかは保険外費用が大きいじゃんか? 金さえあれば三日もあれば退院できるんだけどね。
おかげで今度のレースには出られない。」

アルトは木陰のテーブルで紅茶をすする。 ルークの自宅近く、路地裏の露天店のテーブルだ。
カフェというには少しおこがましいかな? 生活感あふれるメニューから、紅茶と軽食だけオーダーした。

「マリエルは?」
「さっき出かけた。図書館だって。 昨日のチンピラ共には気をつけるように言ったけど。」
ルークも自分の紅茶をすすりながら言う。大人びた姿勢をとりたいのだろう、くだけて座る様はいっぱしの大人に見える。
「妹は、建築を学びたいって言ってる。 でもウチは貧乏だからな、大学に行く学費すらかつかつなんだ。
来年、再来年になれば兄貴と俺で稼げる。けど、今、マリエルを予備校とかに行かせてやる金がないんだ。」

路上の鳩を見つめながら少年は続けた。
「あんたは、パイロットだろ?風が読めるしな。 明後日の大会に一緒に出てくれないか?
セカンドライダーが必要なんだ。
草大会だが、市長杯だからな、優勝者は賞金か、奨学金か選べる。
俺と兄貴は自分で好きな道に行ける。 だけど俺は、マリエルを応援したいんだ。」
少年が顔をあげて、アルトを見つめた。


・・・・・・・・・・・・・・・


「ふううん。で、あなたはお兄さんに新統合軍アカデミーに行って欲しいんだ?」
ソファでくつろいだ姿勢で、シェリルは言葉を返した。

一方のマリエルは、まだ緊張した面持ちのままだ。
「そうよ。 ルークお兄ちゃんは絨毯を飛ばすだけじゃなくて、ちゃんとお勉強もできるの。 なのに、お金が稼げるからって、パイロット公募しか考えてないのよ。
今度のレースでも優勝者は賞金か奨学金か選べるのに・・・。
大きなソロお兄ちゃんが怪我して入院中だから、私がセカンドライダーをやってあげるって言ってるのに、危ないからダメだって。」
「あなたも乗れるの?」
「あら、ばかにしないで。ジュニアハイのシングルでは優勝しているのよ?」

すこし考えてから、シェリルがいう。
「どう?あなたと組んで、あたしが乗ってあげようか? お兄ちゃんにはいいセカンドライダーが付きそうだし。」
「? ・・・ああ、なるほど。」少女が一瞬考えてから応えた。
続けてシェリルに聞く、「でも、あなたが? 私と?」
「あら!私もこれでもVF(可変戦闘機)ライセンスの保持者なのよ? 絨毯なんてめじゃないんだから。」


・・・・・・・・・・・・・・


「乗ってみるのはいいけど、こんなとこで練習するの?」
スイートフロアの中庭に面した長大な外廊下で、引っ張り出されたマリエルが言った。
丸めて持参していた愛用の絨毯を広げながらだ。
「しょうがないじゃない。外はうるさい記者ばっかりだもの。 このフロアはもともと貸し切りだから大丈夫! 行くわよ!」
二人の会話だけだと、シェリルの方が案外大人気ない雰囲気にすら感じる。

そうして、二人して宙に浮いて見れば、絨毯の大きさもあり、廊下は想像以上に狭く見えた。
「ちょうどいいかも。廻廊になっているから一周で90℃ターンが4回。反対回りで左右の練習ができるわ。」
マリエルがそう言うと、シェリルが応えた。
「おっけー!行くわよ!」

シェリルの声は、街で暴漢と対峙した時よりも、心持ち、自信なさ気な事にマリエルは気が付いたが、わざわざそれを指摘する気はなかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・


日が陰り始めた頃。
「ただいま。」
午後遅くなる前に、アルトがホテルに帰ってきた。

「えっと、シェリル? 外廊下の花瓶が割れてるし、額縁も傾いてたりするけど、取材がこのフロアまで来たのか?」
「ああ!お帰りアルト。ううん~、何も無かったと思うけど?」
リビングの奥からシェリルの声だけが返事する。
「そう?ならいいんだが。」


上着を脱ぎ、ルームウェアに着替えたアルトがリビングに戻る。
「それより面白いものを買って来た。 少ししたら街に出よう。」
「だって、何だか外は大騒ぎなんでしょ?」
すねた口振りで返事をするシェリル。

「ふふふっ、大丈夫。これを使う!」
抱えていた円筒状の包み紙を解き、アルトが広げた物は、繊細な織りと鮮やかな彩りで飾られたペルシャ絨毯だった。
昨日、ルークが使っていたものや、先ほどまでマリエルが持っていたものとは違う。
そのきらびやかな装飾は、過度に過ぎず、またかといって質素なものではなかった。

「わあ~、きれいな織り・・・」シェリルの声が弾む。
「夜は冷えそうだからな、少し重ね着しろよ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


日没まであと1時間と迫った時間に、二人は、中庭に向って開かれた窓から、静かに滑り出した。

「操縦は大丈夫なの?」
「ああ、昨日の少年に、ルークに、教わって来た。アクロバティックな事をしなければ、難しい事はない。
むしろ高度を取った時に、乗員が怖がってしまう方が危ないかな。」
「そうね、ビュンビュン飛び回る様な事をしなければ大丈夫よね。」
「・・・?」

昨日の飛行にくらべ、少し高度を取りながら、カーペットが進む。
夕方の街は、にぎやかな喧騒と、夕食の匂い、帰宅を急ぐ人々であふれている。


「わりとカーペット飛行は大丈夫そうだな?」
アルトが問いかければ、シェリルが返す。
「当たり前よ。私だってウィングマーク保持者なのよ。」

ホテルから20分も飛んだだろうか、都市の切れ目にピラミッドが見え始めた。
見え始めれば、あっというまに、その偉大な墓標が目の前に現れる。
「人が・・・、自らの手で組み上げた建造物なのよね。」
「ああ、数千年も前だけどな。」
静かに浮ぶカーペットからは、その石組みのひとつひとつがくっきりと浮かび上がって見えるようだ。

アルトがカーペットを操り、再び高度を取る。
砂漠の夕日が、ピラミッドを染め上げた。
「スフィンクスが笑ってる・・・。」
「旅人の問題は知っているか?」
「それくらい知っているわ。 朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足の生き物はなあ~んだ? でしょ? 」
シェリルの笑顔は楽しげだ。

「ね!見て、あっち! ラクダに乗った人達が居る。」
砂丘の一つに、ラクダの列がゆっくりと進んでいた。
やはりサンセットを見に来た観光客だろう、だが古代の隊商の様にも見える。

そして、静かに、シェリルとアルトが見つめる先で、太陽がゆっくりとその一日を終えた。
「きれい・・・。」




「沈んだな・・・。 この時間からはいろいろな場所がライトアップされる、少し見て回ろう。」
アルトが、ナイル河にそって、ゆっくりと絨毯を飛行させる。
昼間の熱さが嘘の様に、冷たい空気に入れ替わろうとしている。だが、日没直後のこの時間はむしろ気持ちがいいくらいだ。

「さて、ルークの絨毯より高級機だからな。オーディオもついている、今日はお前の曲だとこんなイメージかな。」
アルトが織物の生地を指で叩き操作をした。 内蔵アンプ(?)からかかった曲は『ふなのり』だった。

小さく口ずさむシェリル。

「ふふっ『美しき船乗り』は、あなたかしら?」
「ああ、シンドバットはもともと船乗りだしな。」
「・・・この曲を書いた時は、こんな風に二人りで聴く事なんて考えて無かった。」
「そうだな・・・。」
河を渡る風が涼しい。
古代遺跡に囲まれながら、二人の絨毯が静かに飛んでいた。
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  1. 2012/12/03(月) 23:32:54|
  2. 作品(マクロス小説)
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