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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

アルトとシェリルのエジプト旅行 前編その2

うp!!

前編その1は、ここ

この後もちゃんと続きます。
後編も前後に分かれると思うので、お待ち下さい。
23歳シェリルです、アルトとの関係もすこし大人です。ゆえにイチャラブっぽくないので、「イメージ違うかも~?」ご容赦。

さて、「宇宙兄弟」行って来る~。
前編その2


路地を、見知らぬ少女に手を引かれながら走る。
右へ、左へと、進む。
走る、走る、走り抜ける。でも息は弾ませない。 呼吸をコントロールしているのが自分でも分かる。
スラムじみたバラックが続く軒下に、シェリルはギャラクシーのそれを思い出す。

あのころ。 
実際に彼女がスラムに暮らした時期はそんなに長くは無かったはずだ。
たぶん3ヶ月かそこらだったはず・・・。
だが、子供だったシェリルにとって、その孤独な時間は永遠にも等しかった。
グレイスに拾われてからも、いや、アルトと一緒の生活を初めた今でも、突然その記憶が彼女に襲いかかるときがある。
食べ物をあさり、追っ手を恐れ、さまよった日々の記憶はもちろん、ろくなものじゃない。

あの時も、こんなふうに逃げることが何度もあった。
わけもわからず追い立てられるのがほとんどだったが、一度、横転した配送ロボットからパンを盗んだ事がある。
あの横転したロボットは、同じような境遇の男の子のグループが罠を張っていたのだ。今はそれが理解できる。
けれども当時。 偶然居合わせたシェリルは、とっさに転がったパンをつかみ逃げたのだ。
ただそれだけ・・・。

あの男の子達や、集まったほかの子供達が逃げ切ったかすらも知らない。
もう2度と会う事はなかった・・・。

たぶん目の前を走るこの子より、もっともっと小さい頃。


「こっち!」
小さく呟き、通りに出ようとする少女。
だが、シェリルはそんな彼女を引き寄せて、路地の壁際の物陰に隠れる。
「え?」荒い息を押し殺した少女は、シェリルが見つめる通りの先に、先ほどの少年グループの一人を見つける。 先回りしていたんだ。
すぐに、シェリル達が隠れる物陰の前を、さっきの少年達がバタバタと走り抜ける。

数メートル先で、グループと合流したチンピラは、何事か怒鳴りあっている。
一人がシェリルの潜む路地を振り返り、何か言っている。
「(こっちに来る?)」
息を潜める。


「なんの悪巧みだ?」
いつのまにか現れた警察官が、少年グループに声を掛けた。 
にこやかに笑うあごひげの警察官。 
すこし離れた場所に別の警察官が、不機嫌で威圧的な雰囲気で立つ。
二人チームのパトロール巡回だろう。

警察官の声に対して、少年達のぶつぶつ言う声は、距離もあってよく聞き取れない。
「別っに~。」
「なあ? 俺ら明日の宿題どうしようか、って話をしてただけっす~。」
そんな答え(?)が聞こえ、グループは立ち去ろうとする。
「まあ待ちなって。」あごひげの警察官が止める。ぐるっと移動した不機嫌な方の警察官が、シェリルの路地と彼らの間に立っていた。


「・・・行きましょ。」
様子を伺っていたシェリルと少女は、路地の奥に紛れた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



振り向いたアルトは、目の前のその少年を見つめる。
少年は、その絨毯にあぐら座で、1mばかりの空中に静止していた。
「そら飛ぶ絨毯?」

「あれ、知らないの? ここらじゃあポピュラーな乗り物だよ。ゼントラーディの重力制御繊維製。
とにかく乗りな! チンピラ共がマリエルを追いかけて行った。急がないと!」
「頼む!」
アルトも短く応えると、その空中に浮くカーペットに飛び乗った。


「フライングカーペットは初めてか? 生体吸着コントローラーとIP-I/F(知能的受動インターフェース)制御だ。思った方向に飛ぶぜ。 もっとも!早く飛ばすには腕が居るけどな!!」
肘まで手を付いて低い姿勢を取ると、少年はカーペットをぐっと増速させた。
アルトも慌ててカーペットに手を付き、小さくなる。 カーペットの長い毛足が、沈みこんだ手のひらをやわらかく握り返す。
「(生体吸着?なるほど転落防止機能も兼ねている。)」
カーペットは地上3メートルばかりの高さを猛烈な勢いで飛び始めた。

広い通りでは、人や車を追い越し、狭い路地に出入りし、露天の頭上を飛び越えながら、ショートカットを繰り返す。
「(スピード違反だなこりゃ・・・。)」

頭上をかすめられた男性の罵声を浴びるが、それを無視して少年がアルトに聞く。
「位置情報は?」
「えっ?ああ、今は・・・」
「通りの名前とか文字情報でいいよ。だいたい判る。」
渋滞の観光バスを追い抜きながら少年が言った。
「ええと・・・、 5thストリートとクイーンズアベニューの角?東に時速25キロで移動中だ。」
「トラムに乗ったな。こっちだ!」

少年は小さい路地に飛び込むために、ほぼ90度のターンに移る。
カーペットを傾ける! ひるがえさせたそれがエアブレーキとなり、アルトの下にあったカーペットが一瞬で垂直に立ち上がる。
放り出され、ほぼ真下を覗き込む様な姿勢になるが、とっさに低い姿勢をとり、カーペットを操る少年と同じ体重移動をこなす!

路地に入ったところで少年は再びカーペットを加速させる。
すかさず、アルトが携帯端末を読み上げる!
「今、ヴィクトリアアベニューを過ぎたとこだ!」
「了解! ・・・って、あんたカーペットに乗るの初めてじゃないだろ?」
少年の口元が笑っている。

「いや、初めてだぜ?」答えながらアルトも笑う。
「・・・ふんっ。」
少年がさらにカーペットのスピードを上げた。


カーペットは大通りの上を飛ぶ、路上にはトラムラインの路線が埋設されている。
どうやらこのトラムでシェリル達は移動している様だ。

「ピラミッド再建30周年記念大会?」
「ああ、二人乗りカーペットでのエアレースだ。
さっきの奴ら、レースで小遣い稼ぎをしようとしている。
俺と飛ぶはずだった兄貴にも怪我させて、脅して来やがった。今度は妹を人質に俺を脅すつもりだったんだと思う。」
「なるほど。」
カーペットは風を切って進む。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あはは!ちょっとすっきりしたじゃない?こんなの久しぶりだわ~。」
昼過ぎのこの時間、トラムにもちらほらとしか客はいない。
開け放たれた窓から入る、乾燥した涼風に、気持ちよく身を任せながら、シェリルが少女と話す。
少女も言い返す。
「お姉ちゃん、無茶し過ぎ。怪我でもしたら大変なんだから!」
「あはは、ごめんね。でもさ、この私に『ばばあ』とか、『おばさん』よ? さすがに私もカンベンできないって感じ?」
サングラスを少し持ち上げて、シェリルは少女との会話を進める。
「あなた名前は?」
「マリエル、 マリエル・ビラエルよ。」
「私はシェリル。 シェリル・ノームよ。」
シェリルはサングラスを取って、マリエルにウィンクする。

少女の顔がこれ以上はないという驚きの表情になる。
「えっ?えええええーーー!!!!」

マリエルは自らの口を押さえると、あわてて周囲を見渡す。
気がついている人はいない? いないよね?
シェリルがこんなところに居るって、あんな騒動を起こした後では秘密にしなければいけない事だと思えた。


そんなマリエルに笑いかけて、シェリルはサングラスをかけ直し、みだれた髪を再びスカーフにしまう。

「マリエルはこの街は長いの?」
「えっ、ええ。 生まれも育ちもこのニューカイロよ。」
「家族は?」
「パパとママとお兄ちゃんが二人。 一番上のお兄ちゃんは、今は怪我して入院してるけど、二人ともカーペットライダーなの。 私も乗れるんだけど、練習中かな。」
「カーペットライダー?」
「『そら飛ぶ絨毯』の操縦者よ。知らないの?」

今度はシェリルがきょとんとした顔になる。
「そら飛ぶ絨毯?」
「市内ならポピュラーな乗り物よ。ピラミッドのあたりだと遊覧飛行もあるわ。」
「へええ、面白そうね。そういえば観光ガイドには写真が有ったけど、CGとか合成だとばっかり思っていたわ。本当に飛ぶの?」

がたんがたんと、トラムが大きな河を渡る。 
そのまま橋上を進むシェリルたちの車両は、トラム専用線の引き込みに入る。 周辺の視界が急に開けた。
マリエルが小さな女の子のように、窓の外に向かい座りなおしてから周囲を探した。
「えっと・・・、ほら、あっち。 飛んで来る・・・、って? お兄ちゃん?」

思いのほかトラムの近くを、その『そら飛ぶ絨毯』が滑るように進んでくる。
視線を向けたシェリルも、ライダーとそのパッセンジャーを見つける。
「あら?アルトも? やだ!楽しそうじゃないの!」


「ったく、あのバカ。呑気に手なんか振ってやがる。」
「あははは、強い姉さんだよね。お兄さんも苦労してるんじゃない?」
少年がつられて笑いながら言う。
「まあね・・・。」
安堵まじりのアルトのため息と共に、トラムに並走したカーペットが飛ぶ。

線路が向う先には、再建されたピラミッドとスフィンクスが、静かにたたずんでいた。
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  1. 2012/11/18(日) 06:40:36|
  2. 作品(マクロス小説)
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