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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

妖精とビッグキャット

夜中書いたー。
名古屋会場に捧げます。移動中にでも読んで~。
あ、まだ終わらないけど、空中戦が長くなったのでうp。

分校物語3 中篇
前編はこちら→ ゴーストとフェアリー



分校物語3
その2; 妖精とビッグキャット


「お二人さん?君達のカメラ中継でこちらも確認中だ。 距離をとって平行飛行を頼む。」
地上管制室での、慌ただしい報告のやり取りが溢れる中から、ギル・ブライス中尉の声が聞こえる。
シェリルと、ダイアナのヘルメットに内蔵されたガンカメラから、映像が地上に送られているのだ。
「ギャラクシーの、ステルス型無人ゴーストだな。大きさからしても子供ゴーストの母艦かな。 今照合を掛けている。 加えてSMSの専門家にも問い合わせ中だ。」


デルタ翼の本体に加えて、羽のような可変金属の膜翼が左右に伸び、それが大きくたわんで全体を支えている。
外観はまだ飛行可能な雰囲気をかろうじて保っているが、機体後部には、開けはなたれたままのデッキ?があり、破損はその後部を中心に広がる。
後部デッキの奥は陰になりよく見えないが、機体内部の格納エリアに何かが衝突したようだ。

シェリルが低くつぶやく。
「凄い・・・。 自律飛行で、こんなボロボロになっても滞空してたんだ。」
「終結からもう一年は経つのに?」
並んで飛ぶダイアナの声は少し震えている。

二人の会話を聞いていた、ギルが会話に加わる。
「上昇気流を利用するプログラムがまだ生きてるのだろうな。 浮いているだけの重力制御なら太陽光でも十分賄える。
ごく最近まで、光学迷彩も機能していた様だ。 今しがた観測衛星がやっと画像で確認した。
三時間前までは、この空域にはこんな飛行物体は無かった。」

「そう・・・、今まで発見出来なかったのが不思議な大きさだもの。 ギャラクシーの遺物ね。」シェリルの声が少し悲しげだ。

「(加害者としてのギャラクシーだから・・・?)」
ダイアナは、シェリルがふさぎ込む必要はないと思う。
「(言ってあげたいな・・・。)」

ギルが二人への報告を続ける。
「漂流方向などシミュレートさせている。 もう少し画像を送り続けてくれ。」
「了解。」
「おっと、だが、あんまり近付かないでくれ。 完全に死んでいるわけじゃなさそうだからな。」
「了解、2キロの目標距離をおいて周囲を観測継続します。」


シェリルが見つめる画像は、そのまま、地上管制に送られている。
遠めにみるそのゴースト後部の、うつろな口の様なハッチが気になる。
デッキ状になっているその構造の奥に、何か異質なものが入りこんでいる?
「何だろう、動きはないけどなにかが突っ込んだようにも見えるわ。」

「ああっと、まずいな。 このコースだと、いずれ軌道エレベーターの建設区域と交差する。」
独り言のようなギルの報告の後、音声通信に若い男性の声が入る。

「管制!シェリルさん! 横は入り、失礼します。 SMSのルカ・アンジェローニです。
情報解析の指示を受けました。」
「ルカ!久しぶりね。今何処にいるの?」
シェリルが応える。
「おひさしですシェリルさん。今は自宅です。 ギャラクシーのゴーストシリーズの解析、分析を担当してます。」

通信は音声のみだが、恰好の研究資料を得た事に、もしかしたら喜んでいるのかもしれない。 やや興奮した雰囲気で説明が続く。
「これは、ギャラクシーのゴーストpⅩ(10)型です。ピーテンとか、ピーエックスとか呼ばれます、子供ゴースト3機を操る母艦ですね。
惑星上での連携攻撃を担うタイプで、衛星高度から地上高度へ降りて、作戦を完遂します・・・。」
シェリルとダイアナは、ルカの説明を聞きながら、ゴーストの近傍を遠巻きに飛び続けた。


・・・・・・・・・・・・・・
接近する二機の小型飛翔体とその母機を感知した時、pⅩの文字通り壊れかかった判断回路が再び動き始めた。
近付く飛翔体はバシュラでは無さそうだ。
だが味方信号も無い。 ましてや作戦終了の信号も未だに無い。
往事に比べればノロノロと、それでも外から見れば瞬時に、pⅩは攻撃を決めた。
問題はない。 もともと疑わしきは撃てとプログラミングされている。
pⅩは、空対空ミサイルを、敵母機に向けてためらいもなく打ち出した。
同時に、これがマイクロミサイルの最後の一基だった事を確認する。

いや、トレーサー部品への油脂付着で除けておいたのが、まだ一基あったか?
pⅩの戦術思考分野回路は再び思考を始める。
一年前?いや、八か月前だったか? 戦闘で破損したポッドに一基だけ残っている。
・・・・・・・・・・・・・・・・


チカッ!
シェリルとダイアナが、その瞬きを見たのと、監視衛星が熱源を捕らえたのは同時だった。
「えっ!」
「み、ミサイル?」
「クソっ!退避だ。」地上管制からギルの怒声が届く。

ゴーストから伸びた光条は、シェリル達を飛び越えて、するすると、二人を乗せてきた輸送機に伸びる。
無人の小型輸送機内に警報が鳴り響き、プログラム通りの退避行動を始める。
だが無人輸送機の、その退避行動では遅すぎた。
吸い込まれる様にマイクロミサイルが着弾すると、あっと言う間に大きな火球となる。
「ひっ!」ダイアナの引きつった声がインカムから聞こえた。


・・・・・・・・・・・・・・・・
あとは不良品のミサイルくらいしか出す手は無い。
かまわないか・・・、どうせもう穴だらけの機体だ。
もうひとつ穴が増えても滞空くらいはできる・・・。
pⅩは静かに、本当に最後のミニミサイルを打ち出す。
回路は不良品報告を瞬時に書き上げ、投函フォルダに納めた。
帰還したら報告しなければいけない・・・。 
だが、何処に?誰に?何の為に?
・・・・・・・・・・・・・・・・・


シェリルが叫ぶ!
「もう一つ来る! ダイアナ!! 離脱するわよ!」

だが、こぼれだした空対空ミサイルは、一瞬の失速落下の後に、小さな方向舵を繰り出し、弧を描いてシェリルの後方に狙いを定めた。

「ホーミング(誘導)ミサイル?」
「逃げて!シェリル!」ダイアナが叫ぶ!
増速して、回避行動を取るシェリル。

「(こんな小型の飛翔体も追えるの?)」
サイドスラスターを小刻みに噴出しながら、姿勢制御を繰り返してミサイルがシェリルに迫る。
それはさながら、小さな妖精を追うビッグキャットだ。
「(悪い冗談にもならないわ!)」
目の前で始まった光景に、ダイアナは悪態をつくと、シェリルを追いかけた。


「シェリル!!」
ダイアナの呼びかけに、シェリルが応える。
「ダメ!機動性はこっちが上だけど、最高速が違いすぎる!」
シェリルは細かい反転を繰り返し、ミサイルをそらそうとするが、速度を落とさないターンは限界に近い。


「シェリル!そのまま旋回して!こちらから見ると電波(レーダー)ホーミングは機能して無いわ!たぶん熱源探知だけよ! 別の熱源をぶつければそれるわ!」
シェリルを追うミサイル、それを追うダイアナ!

「そんな事言ったって、フレア(熱欺瞞体)なんて持って無い!」シェリルの返事は怒鳴り声に近い。
「いいから!旋回して!」ダイアナも叫ぶ!
通常仕様のEXギアに比較すれば、二人のそれは、高高度飛行用にエンジン出力がチューンされている。
だが、連続加速には限界がある。ミサイルは文字通り徐々にシェリルに近寄る。
ダイアナの指示通り、大きなループを描くシェリル。ミサイルはやや膨らんだ軌跡を残しながらも首を振る。
だが、旋回反転の頂点の、シェリルとの間隔が開いた、ちょうどその隙間に、ダイアナが飛び込んだ!

「ダっ、ダイアナ?」
飛び過ぎるシェリルが振りかえると、盛大な熱噴射で、ダイアナが別軌道のスタートダッシュを取ったところだった。
ミサイルは、目標をダイアナへと変えて追い始めた。

太陽に向い急上昇するダイアナ。中天で振り切ろうと急旋回をかけるが、ミサイルは再び旋回してダイアナを追う。
「ダメ?こんなんじゃダマされない! 画像追尾機能があるんだわ!」
ダイアナの悲痛な声が響く!

「ダイアナ!そのまま下降、反転上昇して! エンジンユニットを切り離すのよ!」
姿勢を取り直した、シェリルが呼びかける!
「落ちちゃうわよ!」さきほどのシェリルと同じような退避行動をとるダイアナだが、だいぶ息が上がっている。
「大丈夫!拾ってあげる!」
ショートカットの直線的な軌道で、ダイアナと、ミサイルの後につくシェリル。
「ええ!ムリ!」
「良いから!任せて!」今度はシェリルが怒鳴る。
細かい旋回を繰り返すダイアナに、さらにミサイルが迫る。
「できっこ無い!」
「死にたいの?!」
シェリルの声は命令だった。
「太陽に向って2時方向!仰角2! カウントダウンするわよ! 5、4、3、2、パージ!」

ダイアナの背後で、リリースボルトが音も無く分解し、乗り手のなくなったEXギアのエンジンパックが、そのまま増速して急上昇する。
放り出されたダイアナは一瞬パニックになるが、手足を広げてかろうじてダイブの姿勢を取る。
「くっ!」最大加速のGに耐えながらシェリルが落下するダイアナの元へ飛ぶ。


背後で、ダイアナのエンジンユニットに、ようやっと喰らい付いたミサイルが爆発する。
が、すでにシェリルの思考はそこには無い。
「ダイアナ!手を伸ばして!」落ちるダイアナに必死で手を伸ばす。
だが、あと少し届かない!
「(くっ!届かない?)」
もがく様にダイアナの手が泳ぐ。

シェリルも一瞬パニックになる。
「(助けられない!)」
「アルト!」無意識に彼の名前を呼ぶ。 今その名を呼ぶ事に意味などない。
だが、その言葉が。 
アルトが何度も、自分を空中で捕まえてくれた事を思い出させた。
「(あいつに出来て私に出来ないわけが無いのよ!)」

「おおおおおっっっ!」
気がつけば、シェリルの口からは雄叫びが溢れる。

「(ぶつかっちゃえ!)」
伸ばした手を戻し、加速に集中する。
すべてがスローモーションの様に、たっぷりの時間を掛けて? いや、ごく瞬間の出来事だったはずだ。
ダイアナが両手を広げ、シェリルを見上げているのが分かる。
その顔が、あっという間にシェリルに近付き、ガッツんん! 鈍い音が響く。
彼女のバイザーに激しい頭突きをしながら、シェリルがダイアナを救い取ったのだ。
「かっ、確保!」シェリルが叫ぶ!
「いい~っ、痛ったあああい! ちょっと!乱暴だわ!」
涙声のダイアナの声が響く。
それでも、ダイアナが力強く、自分に抱き付いている事が、シェリルにとって嬉しかった。
「何言ってんの!我慢なさい!!」

シェリルは水平飛行に姿勢を立て直した。
だがEXギアのエクステンドアームの補助があっても、女の子一人の体重は重い。
酷使したエンジンユニットも二人分を支えきれるのか?

瞬時に周辺状況を判断する。気がつけば漂流するpⅩの後部ハッチが見える。
ぽかりと口をあけたそれは、薄闇に隠れていたが、寄る辺のない空では、まだましに見えた。

「(いっそ敵の懐だわ。)」
シェリルはEXギアのエンジン出力をあげて、薄暗いそのデッキに飛び込んだ。



またまた続く!!!



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  1. 2012/06/02(土) 07:08:29|
  2. 作品(マクロス小説)
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