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ううん酸

とりまシェリル・ノームのファンサイトです。うさんくさい?

オリンピアにて(アルトと銃)

わあ、なんだかさっそく拍手とかコメントいただけて嬉しいです。
これまで「書く」ということはやったことがなくて・・・、正直こんなにコメントをもらうのが嬉しいとは思いませんでした。
ほんと感慨深い。 師匠!感謝してます。
あと、「カッコいいアルト」というコメント頂きました。
そうですよね?アルトってかなりかっこいいですよね? 手前みそですが、御方に寄稿させていただいていたこの「オリンピアにて」のアルト、ちょっとカッコよく書けているかなあ~なんて思ってます。

さて、書き溜めたのはこれで終わりなんですが、やっと次のプロットがまとまってきたのでまた書き始めます。
今度こそプロポーズ! いや出来たら・・・ちゅうとこで。



オリンピアにて(アルトと銃)


「ただいま。」
玄関でアルトの声がする。
オリンピアのシェリルのアパートメントに、アルトが帰ってきたのだ。
シェリルはリビングで楽曲のアレンジを思案中だった。

十分な広さを持つアパートメントだが、居室数が多いわけではない。
シェリルが先に帰宅している場合は、いつもアルトは、シェリルのいるリビングをのぞき、二言三言、声を掛けてから、寝室のクローゼットでルームウェアに着替える。

今日のアルトは、リビングを経由せずに、寝室のクローゼットに直接向かったようだ。
「(ああ、今日は持って帰っているのね。)」シェリルはそんな事を思う。

オリンピアでは銃の携帯は基本的に一般市民には許されていない。
警察、軍の治安関係部署、特に許可された民間警備会社などに限られ、さらに保持者についても、登録、免許制、年度毎の免許更新などの厳しい管理が課せられている。
自宅保管の際は、鍵のかかる専用の保管場所の設置が必要だ。
アルトは、仕事の都合で銃を自宅に持ち帰る場合は、寝室のサイドボードにある生体認証キー付の引き出しに、帰宅と同時に銃をしまうのが常だった。

楽曲のアレンジにちょっと行き詰っていたシェリルは、自分が銃を持ったときの事をぼんやりと思い出していた。

それは、まだフロンテアィが船団として宇宙を航海していた頃。
アルトがブレラとともに、シェリルのシークレットサービスについてしばらく経ったころだった。
浮遊式監視カメラや、樹脂製武器の検出装置の発達などで、芸能界での暴漢騒ぎなどは厳重な警備下では、あってはならないことだった。
だが、映画祭のゲストとしてレッドカーペットを歩くシェリルに、その事件は起きた。
制服の警備員に化けた暴漢が、突然、シェリルに覆いかぶさるように迫ったのだ。
スーツ姿でシェリルに帯同していたブレラが、この偽警備員を瞬く間に取り押さえる。
アルトは、シェリルを抱きかかえてかばう。 彼の右手はスーツのホルダーにある拳銃を引き抜いていた。
一瞬の出来事に、取り乱すことは無くても、シェリルが怖い思いをしなかったと言ったら嘘になる。
アルトの左手を握る彼女の手は、小さく震えていた。

騒然となるエントランスロビーから、アルトに引っ張られ、抱きかかえられる様に控え室まで運ばれた。
映画祭の参加は見合わせ、到着した警察に暴漢を引き渡すと、シェリルとアルトは一緒に簡単な事情聴取を受ける。
シェリルに代わり、経緯を説明するアルト。
スーツ下のホルスターから、小さめの拳銃を取り出して警察官に提示する。
「(そうよね、アルトもシークレットサービスの一員だもの、拳銃くらい持っているわ。)」
ブレラが銃を持っているのは当然だ。昔から持っている。たぶんグレイスだって。
だが、アルトが銃を持っている・・・、自分のそばには危険な仕事でいるのだという認識は薄かった。

シェリルとアルトの聴取が終わると、ブレラが呼ばれた。
二人は、続きの部屋でブレラを待つ。

シェリルは銃を持つアルトも、銃を撃つアルトも想像できなかった。
シェリルが恐る恐る(?)、アルトに話しかける。
「拳銃をもっているのね。」
「当たり前だろ? 必要なものだ。特に今日みたいな日は。」
「見せて。」

アルトは一瞬躊躇したあとに、慣れた手つきで、ホルスターから自分の自動拳銃を取り出すと、弾倉を抜き、上部のスライドを引き、薬室に弾丸が装填されていない事を確かめてからシェリルの手に拳銃を載せる。
安全確認の作業だろうか、流れるような一連の作業だった。

樹脂製であり、かっての拳銃とは比べ物にならないくらい軽量化されたものだとは思う。
が、シェリルの手に載ったそれはずしりと重い。
「(これで人を殺す事もできる?)」そう考えると、シェリルは握りなおすこともできず、両手に載せたままになった。

アルトが手に持った弾倉を見つめながら言う。
「射撃訓練ぐらい受けてみるか?SMSにも婦人職員向けの初歩講座プログラムがある。」

シェリルは両手に載せたその自動拳銃のグリップをアルトに戻しながら言う。
「必要ない。あなたが守ってくれるから。」

アルトは拳銃を受け取り、弾倉を戻し、安全装置を確かめてから銃をしまう。
「そうか。」
「ずーっと守って。」小さい声でシェリルがつぶやく。
「わかっている。」アルトが答える。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「(ふふ。 やだな、もしかして、プロポーズみたいな言い方だった?)」
シェリルの思い出が終わるころ、アルトがルームウェアに着替え、リビングに入ってきた。
「ただいま。」
「お帰り、アルト。」


FIN



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  1. 2012/01/23(月) 23:14:10|
  2. 作品(マクロス小説)
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