おはよーございます。
とりあえずこんな感じでうp。
かなり前段の説明文って感じ・・・、しかも続きのお話考えてない。
まあGWもあるし、ゆっくり考えよう。ネタがあるとうれしいのだが。
追:直接関係無いけど、この話から続いてます。→
4月ばかの話
美星学園空港分校にて
3時間たらずで、軌道エレベーター列車は、地上高度駅に到着する。
ここで大気圏内シャトル機に乗り換え、シェリルと、フロンティアの芸能事務所から派遣されてきたグレイスは、やっと首都空港に、降り立った。
やはり、宙域からダイレクトに地上にアクセスするビジネス便の方が、着陸までの所要時間は短い。
だが、今回はツアーなどのスケジュールが詰込まれた移動ではない。
惑星フロンティアを訪ねたのは、契約などの商談確認と、メディア取材のためだけだ。
それに、軌道エレベーターでのゆったりとした降下は、惑星の壮大な景観を楽しむには最適な乗り物だった。
「(たまにはのんびり乗換え旅行もね。おかげでグレイスともたっぷりおしゃべり出来たわ。)」
首都空港で、新しくできた新ターミナルビルに向かうバスへ乗り込もうとした時、ふっと2kmほど先にある旧空港ビルを目にして、シェリルはなんだか懐かしくなる。
「どうしたの?」たたずんだシェリルにグレイスが聞いた。
「ううん、なんだか懐かしくて。 ついこの前まで、あのビルに学校が間借りしていたのを思い出したの。」
グレイスが、インプラントから記憶を引き出すような仕草を一瞬見せるが、もちろん今の彼女に、補助記憶媒体としてのインプラントはない。
「ああ、美星学園の航宙科が間借りしていたころね。 そんなに長い期間じゃなかったと思うけど。あなたが在籍している間だった?」
「シミュレーターとか、専門的な教育はほとんどこっちだったわ。本校の方の設備が戦役でほとんど破壊されていたから。」
「そう・・・。フロンティア復興の時代ね。」
「ええ。」
シェリルが見つめる、旧空港ビルは、一昨年に完成した新ターミナルビルとくらべると寂しい雰囲気だった。しかし、彼女にとっては、隅から隅まで知った建物だ。
「懐かしいわ。」
そうつぶやくシェリルと共に、グレイスもしばし、その低いビルを見つめた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二人で並んで帰る道で、シェリルが空を見上げながら言う。
「ねえ!アルト!見てみて! 光の具合でテザーが見えるわ。」
(テザー=軌道エレベーター建設のために、静止軌道から降ろしている吊り紐)
初夏の夕立がやみ、空気も洗われたのだろう。すんだ空はすべてをくっきりと浮かび上がらせる。
そして遥か彼方の宇宙から伸びる、細いそのテザーは、確かにそこに見る事が出来た。
まだ幅数cmの細いテープ状のモノのはずだ。
だが、大気にきらめき、蜘蛛の糸の様に光るそれは、確かに見る事が出来る。
まっすぐに天に伸びる糸は、天からもたらされたのか、地上から伸び上がったのか?
「きれい・・・。」
そうつぶやく彼女の髪も、アルトから見れば、同じ光の中で輝いていた。
戦役後、帰還したアルトと、昏睡から奇跡的に目覚めたシェリルは、今では生活を共にしている。
もともと身寄りの無い彼女が、入院と拘束から解かれた時点で、二人で生活を始めるのはごく自然な流れだった。
だが彼女は、病気療養と戦役の検証、確認のために、完全な自由を得る事はかなわなかった。
体力的な回復は早かったが、V型感染症根治のための定期的な継続治療が必要であり、また、多くの関係者が死亡したギャラクシー事件に対する彼女自身の嫌疑、あるいは未解決案件での証言など、重要参考人扱いが続いている。
シェリルは、フロンティア政府の証人保護プログラムの元で、庇護、監視下に置かれ、同時に美星学園の航宙科に通う学生となっていた。
その日の夕方。 授業が終わり、アルトの訓練が終わるのをいつもの待ち合わせ場所で待ったシェリルは、アパートに向いながらアルトに話しかける。
「今日の晩ご飯はなに?」
「何がいい?」
楽しげなシェリルに誘われて、アルトも自然に笑みがもれる。
「昨日のお野菜残っているわよね?」
「ああ。」
「え~っと、チャーハンとかは?レタスが入っているのが良いなあ~。」
「んー、肉は何かあったかな・・・。 ああ、ソーセージがあるか。いいぜ、有るもので作れる。」
シェリルのリクエストに、少し考えたアルトが応える。
「うふふ、決まりね。楽しみ! 私、宿題のレポート仕上げるから、お料理お願いね。」
「はいはい、俺も明日の実習のリストつくらないといけないんだが・・・。」
「よろしくね、先生!」
アルトは、パイロット資格をすでに取得しており、実務経験もあることから、学園では臨時講師に回る事のほうが多かった。
戦役で、教師、教官などの人材が不足している事も理由の一つだ。
「・・・って、学生兼講師、時々SMSって、我ながら超人だよ。」
そんな自分の境遇を揶揄してアルトがつぶやく。
「あら、役得も有るじゃない?」
シェリルが腕を絡めながら微笑んだ。
日が落ちる前に、二人はアパートに戻る事ができた。
戦役直後の復興の混乱と、地上での人々のあらたな生活の開始時期を二人は知らない。
その頃、アルトはバシュラとのフォールドからの帰還の真っ最中であり、シェリルは病院の医療ポッドに寝かされていた。
二人がそろって、旧アイランドワンの市街に戻った時、すでに瓦礫の多くは整理され、惑星上を含めた復興が始まっていた。
シェリルの証人保護プログラムに乗る形で、新生活を始めた二人は、日々の生活の中心を彼女の希望にそって、再開した美星学園の航宙科へ移し、アルトとともに復学した。
ほぼ全壊した旧アイランドワン内の美星学園は、徐々に再建されつつあったが、航宙科だけは、高価なシミュレーターの都合や実習機材の関係から、市街に設けられた軍民間共同空港の一角に間借りしていた。
専門課程、実習は基地空港内分校で。 教養一般課程は本校に戻ってが、ここ数ヶ月で出来上がったスタイルだ。
・・・・・・・・・・・・・・
新空港ターミナルビルに向かうバスの中で、当時の自分が置かれた立場を、シェリルは、グレイスに説明する。
「今のグレイスと殆ど一緒よ。限られた範囲内でなら自由にしていてよし。 惑星から勝手に離れるのはなし。
指定された場所で、生活は自分の力でしなさい。 監視を兼ねた証人保護プログラムで身辺警護が有ります、って。少し不便では有ったけど、病気治療と静養も兼ねてだったわ。 証人保護プログラムも逆にプライバシーを保つのに役立ったし。」
「彼とも一緒だったし?」
「うふふ、そうね。それが楽しく無かったって言ったら嘘になるわね。」
「あら羨ましい。」
グレイスの物言いがおかしくて、シェリルはつい笑ってしまう。
「ふふ、ごめんなさい。 でもその頃は、グレイスは一番拘束が厳しい時期だったわよね。」
「そうね、孤独では有ったけど、私も自分を考えるいい機会だったわ。
こんな会話が穏やかに出来る日が来るなんて、想像すら出来なかったけど。」
グレイスの言葉に、シェリルも静かにうなずいた。
・・・・・・・・・・・・
翌朝、
「どうしても一緒にアパートを出る!」というシェリルを連れて、アルトは分校校舎に向う。
二人が住む新統合軍基地内の、2LKの家族向けアパートから、学校のある空港ビルへは徒歩で10分強だ。
地上4階建ての低いビルの奥まった一角に、美星の航宙科、2学年28人が間借りしていた。
「どう考えてもまだ早いぜ。」
「だって一人でお部屋に残ってもつまらないわ。」
シェリルが少し、ふくれながら言う。
「教室までは送るけど、俺は実習準備があるからそこまでだ。」
「ええ、いいわ。一人で自習しているから。」
「感心、感心。」
アルトはつないだ手を少し握り返しながら、応えた。
学園では、「シェリルは、早乙女家の遠縁の親戚である。」で、通していた。
名前も早乙女シェリルだ。
だが、誰が見たってシェリル・ノームだ。
フロンティア政府の証人保護プログラムでも、ここまでの有名人を保護する想定はしていなかった。
結果としてどうなったか?
本人が早乙女シェリルだと言うのだから、もうそれ以外にない。
クラスメイトは、この転入生を、早乙女アルトの遠い親戚として受け入れている。
何か事情があるのだ(明らかにありありだ)。
シェリル・ノームであることを無視し、早乙女シェリルとして受け入れていた。
幸い、アイランドワンから少し距離をおいたこの場所で、騒ぎたてる輩(やから)は居なかったし、本校に一般課程の授業を受けに行く時は、だいたいアルトか、あるいはまれにSPが送迎付きで同行するのが常であり、やはり大騒ぎになるような事態は避けられていた。
二人が早朝の教室に入ると、先にノートを広げている女子生徒がいた。
この航宙科に、シェリルを含めて、四人しかいない女子生徒の一人、ダイアナ・バリーだ。
「おはよう!ダイアナ。」シェリルが声を掛ける。
「オハヨー!あらあら、朝からお熱いこと。」
手をつないだカップルの到着に、ダイアナが答える。
アルトは指摘されて、急にばつが悪くなったのか、急いで手を離すと、シェリルを教室に押し込む。
「じゃあ、30分くらいで戻る。ダイアナ、あとをよろしく頼むぜ。」
「何よ、子ども扱いしないで!」シェリルが答えれば、ダイアナが面白そうに応じる。
「はいはい、任せて。」
アルトは、バタバタと廊下の先に消えた。
「まったく!」
シェリルが盛大なため息と共にダイアナの隣に座る。
「ねえ、一緒に住んでいるでしょ?」ノートから少し顔を上げたダイアナが聞く。
「親戚だからね。」
「答えになって無いわ。うらやましいなあ。アルトくんみたいな素敵な彼氏と、同棲生活。」
「同棲って言っちゃうとそうなんだけど・・・。」
シェリルもノートやら、テキストをかばんから引っ張りだしながら応じる。
ちょっと気恥ずかしくて、ダイアナの顔は見ない。
「あなたが来る前の早乙女くんなんて、ちょっと冷たい感じで・・・。 こんなに誰かと一緒にいる様子なんて、想像も出来なかったわ。」
ダイアナがちょっと間をおいて言葉を続ける。
「・・・ねえ、シェリルはもう、歌は歌わないの?」
教材の航空工学教本を出して、自習を始めようとしたシェリルは、ちょっとびっくりした顔で、ダイアナを見る。
「・・・そうね、喉を痛めているの。しばらくは無理だって掛かり付けの先生が言っているわ。」
その声は少し寂しげだ。
「そう・・・。 いけない!私、宿題のレポート仕上げて無いの。あなたとおしゃべりしたいけど、ちょっと仕上げてからね。」
ダイアナが微笑んだ。
「ええ。」シェリルも笑い返す。
再びレポートに向かったダイアナを傍らに、授業の準備を始めたシェリルが、窓から外を見る。
空港職員に混ざり、ちらほらとクラスメイトが登校してくる様子が見えた。
さあ、1日が始まる。
とりあえず前段終わり!!
続きはまだない・・・。
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- 2012/04/22(日) 06:23:04|
- 作品(マクロス小説)
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